水需要予測再評価 未実施は「不合理」 石木ダム控訴審で原告側

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、反対地権者らが国に事業認定取り消しを求めた訴訟の控訴審第2回口頭弁論が11日、福岡高裁(西井和徒裁判長)であった。原告側は、佐世保市がダムの必要性の根拠となる水需要予測の再評価を実施していない点を追及し「予測が不合理だと強く推測させる」と述べた。
 ダム計画は、同市が2012年度に実施した予測を基にしている。国は国庫補助の対象事業について、事業主体に原則5年ごとの再評価を義務付けているが、市は「社会情勢の大きな変化はない」と見送った。原告側は「今、再評価をすれば、ダムが不要との結論になるからだ」と主張した。
 弁論後の集会で、原告弁護団長の馬奈木昭雄弁護士は、ダム建設予定地の住民の暮らしを追ったドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」を証拠として提出し、裁判所に法廷での上映を求める考えを明らかにした。「代替地への移転で地域コミュニティーが再現できる」とした一審判決に反論する狙い。
 国側は、ダムの必要性を認めた一審判決が適正とする答弁書を提出した。次回期日は7月3日。

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