2021年以降に向けた新協定の議論は進んでいるとロス・ブラウンが主張。最大の問題はやはりコスト制限か

 F1のモータースポーツ担当マネージングディレクターを務めるロス・ブラウンは、2021年以降に向けた新たな協定について、水面下での交渉に大きな進展があることを明かした。

 2021年以降のF1は大きな変化を迎える。F1の競技と運営方針を定めるコンコルド協定が2020年で失効するため、各チームとFIA、およびF1の商業面を司り、技術ルールにも発言権を持つリバティ・メディアは、2021年に向けた新たな協定について合意に至る必要があるのだ。

 2021年からの協定については多くのことが進められているが、内容の策定は公開されることなく水面下で進行している。

「人々は何も進んでいないと言うかもしれないが、それは真実ではない」とブラウンは語った。

「2021年以降の技術面と商業面における交渉は明らかに大きな進展を見せている」

「しかしチェイス・キャリー(F1のCEO兼会長)は、交渉ができる限り静かに内密に行われるよう望んでいることを常に明確にしている。こうした交渉は様々な手段を尽くして行われるものであり、そうしたやり方以外でできるものだとは思わない」

「運営、レギュレーション、収益、コスト制限について、10チームの足並みを揃えるのには時間がかかる。だが交渉は進展しているのだ」

 F1の規約では、2021年のテクニカルレギュレーションの策定は、2019年6月末までに完了しなければならないと定められている。ブラウンはそれが可能だと確信しているが、F1の商業面のレギュレーションを確定することは、一筋縄ではいかないだろう。

「コスト制限については、最終的なレギュレーションを決められた日時に策定できる状況にはない」

「この件に関しては、予定通り確定させるには非常に込み入っており、進展があるたびに内容を推敲することになる。各チームとも異なる優先事項がある。我々は(各チームと)個別に話をしており、誰にとっても最善となる解決策を模索しようとしている。話し合いは大きな進展を見せていることを保証しよう」

「難しい議論だ。当然ながら資金のあるチームはそれを維持したがるし、そうではないチームは資金をもっと欲しがるからだ。だが公平なバランスを見いだすことが肝心だ。より公平な収益分配が行われれば、F1を向上させることができるのは分かっているのだ。それは事実だ」

「そして我々がどのようにしてこの状況に置かれているのかを覚えておくべきだ。以前は収益配分はより公平に行われていたが、IPO(株式公開)の計画前に配分は歪んでしまった。トップチームが状況に気づき、それを最大限に利用したのだ。そのために今の状況がある」

「トップの3、4チームと、残りのチームの間には大きすぎる格差がある。最下位でフィニッシュしても、世界選手権で勝利したチームより多くの収益を手にし得るチームが、理論上は存在するのだ。それは正しいことだとは思えない」

© 株式会社三栄