平戸神楽振興会が地域伝統芸能大賞の保存継承賞に

 国指定重要無形民俗文化財「平戸神楽」の保存・継承に取り組む長崎県平戸市の平戸神楽振興会が、地域の伝統芸能を守る団体、個人を顕彰する地域伝統芸能活用センター(東京)の2019年度地域伝統芸能大賞の保存継承賞に選ばれた。

 同センターが、同大賞と「高円宮殿下記念地域伝統芸能賞」の二つの計6部門で表彰。今年は全体で311件、保存継承賞には210件が推薦された。同会は、審査に当たった選考委員から宮崎県の「高千穂の夜神楽」などと並ぶ知名度や、後継者育成の取り組みなどが評価された。

 平戸神楽は江戸時代、平戸藩士が地元に古くから伝わる神楽を基礎に、全国各地の神楽の要素を加え完成させたとされる。刀などを手にした荘厳な舞が特徴で、全24番を披露するのは年に一度の亀岡神社例大祭のときだけという。

 同会の石田康臣事務局長(74)によると、会は平戸神楽が1957年、県の無形民俗文化財に指定された翌年に地元の神職や神社総代らで結成。現在は81人が平戸、松浦市の神職や子息に所作の継承を図る講習や、観光客が対象の神楽の公演にも取り組んでいる。

 木田昌宏会長(77)は「江戸時代から続く歴史が絶えることのないよう守り続けたい」と話した。表彰式は9月に奈良県で開かれる第27回地域伝統芸能全国大会である。

平戸神楽を奉納する神職(左)=2018年10月、平戸市の亀岡神社

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