キャッシュレス決済 「顧客と新たな接点」 拡大へ「規格統一取り組む」―識者に聞く④古見幸生氏

Origami(オリガミ)の古見幸生マーケティングディレクター

Origami(オリガミ) 古見幸生マーケティングディレクター

 ―スマートフォンなどによるキャッシュレス決済のメリットは何ですか。

 「普段持ち歩くことの多いスマホで決済ができれば簡単で便利ですよね。当社が提供するスマホ決済サービス「Origami Pay(オリガミペイ)」なら、事前に銀行口座やクレジットカードを登録することで、会計のたびにカードや現金を出すことなく支払いができます。

 そしてもう一つ大きなメリットは、即時割引やクーポンなどで、得して便利な買い物ができることです。銀行口座と「紐付け」した支払いでは、さらに1%の割引を実施、精算にクレジットカードを連携した場合にはクレジットカード自体のポイントも付与され、ダブルでお得になることが多いです。

 加盟店にとってもメリットがあります。2016年、中国のアリペイと提携しました。アリペイの利用者がオリガミペイを通じて、日本のオリガミ加盟店でキャッシュレス支払いができます。こうした提携によるインバウンドへの対応の他に、一度支払いをした利用客へのメッセージ配信が可能になるなど、顧客との新たな接点を創出できることがメリットです」

 ―加盟店の反応はどうですか。

 「今年は10月に消費税増税が予定され、店側がレジの販売時点情報管理(POS)システムを入れ替えるなど準備が進んでおり、この機会にキャッシュレス決済のためにスマホによるQRコード支払いのシステムを取り入れたいという声を聞きます。全国の加盟店は、18年度末で10万店を予定しています。代表的な加盟店としては、吉野家やケンタッキーフライドチキンなどの飲食チェーン店、コンビニのローソン、タクシー、百貨店、ドラッグストアなど多種多様です」

 ―オリガミの収益源は何ですか。

 「店から受け取る手数料収入が収益源の一つです。手数料は0%から3・25%としています。そして、加盟店がメッセージやクーポンを顧客に配信し、売り上げの拡大を図るCRM(Customer Relationship Management)サービスを利用することによる配信料なども、収益源となっています」

 ―サービスを拡大するに当たって、重要な点は何ですか。

 「多くの業者がQRコード決済に参入、どの業者の端末も使えるように規格を統一してほしいとの要望が販売店などから出ています。キャッシュレス推進協議会が、QRコードの規格統一に向け取り組んでいます。また、現金に変わる決済として安心安全な決済であることは必須です。当社は金融事業者として安全・安心を第一に事業を行なっており、オリガミペイは、クレジットカード情報を安全に取り扱うことを定められた国際的なセキュリティ基準「PCI DSS」に完全に準拠しています」

Origami(オリガミ) 米大手投資銀行で企業の合併・買収(M&A)のアドバイザリーなどを手掛けた康井義貴氏が、2012年に会社を設立。スマートフォンによるキャッシュレス決済を15年から始めた。LINE、楽天、NTTドコモなどよりも早くサービスを開始、日本のスマホによるキャッシュレスサービスの草分け的な存在として知られる。=終わり

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