【MLB】田中将大は高めに直球を投げるべき!? NYメディア“進言”、「メリット」は…?

ヤンキース・田中将大【写真:田口有史】

高め直球は多く空振りを奪い、出塁や失点を許す可能性が低いというデータも

 今季、2年ぶり4度目の開幕投手を務めることが決まったヤンキースの田中将大投手。デビューから5年連続12勝以上と先発ローテーションを支えているが、そんな日本人右腕について米野球専門サイト「リバー・アベニュー・ブルース」が特集を掲載した。「マサヒロ・タナカと、高めの直球をもっと投げることの潜在的メリット」とのタイトルで、高めへの直球を使うべきだと“進言”している。

 記事では、ここ何年もの間、田中はヤンキースの「アンチファストボール哲学の代表格であった」と言及。スプリットとスライダーが最大の武器で、「直球は明らかに彼の3番目の球種」だとして、変化球に的を絞らせないために投げるだけであると紹介している。

 球団内では、ルイス・セベリーノとジェームス・パクストンがすでに高めの直球を多く使っており、ベテランのJA・ハップ、シンカーを投げるザック・ブリトン以外のリリーフ陣もそうだという。ただ、「タナカには、ヤンキースの他のどの投手よりも、高めの直球を投げるメリットがあるのではないかと思う」と指摘。なぜか。

 特集では、ストライクゾーンを高め、真ん中、低めの3つに分けると、高めの直球は低めの直球よりも多く空振りを奪い、出塁や失点を許す可能性が低いと紹介。現在では、多くの先発投手がラインナップの2順目までしか投げないため、球数を抑えることは最優先ではなく、低めの直球でゴロを打たせて素早くアウトを取るのは「時代遅れの戦略」であるとしている。

田中は「球速を武器にする投手陣の中で例外的な存在」!?

 さらに田中の場合、打者の目線を変えることもできるという。スプリットとスライダー、そして直球の多くも低めに投げている田中について「パワーピッチャーではない」と表現した上で、打者を惑わし、バランスを崩させることによって成功していると分析。「もっと高めの直球を投げることで、更に打者を惑わし、バランスを崩させる投手になるかもしれない」と予想している。ただ、「このことに関して2点言うことがある」という。

 1つ目は「タナカが高めの直球を投げることに問題ないか?」。高めの直球は、高すぎればボールになり、低すぎれば打ちやすい球になるからだが、田中の制球は「とても良い」ため、問題ないとしている。2つ目は「ヤンキースはすでにこのことを考えたかもしれない」ということ。現時点でヤンキースの投手陣が高めの直球を意図的に多く投げていることを考えれば、田中にもそうさせようとした可能性があるが、本人が高め直球を投げることを望んでいないのかもしれないと推測している。

 記事では最後に、特に2ストライクのカウントで、もっと多く高めの直球を投げることが役立つかもしれないと改めて“進言”。しかし、田中が投げたくないのであれば、高めの直球を投げることが悪い結果につながる可能性もあるとしている。

 スライダーとスプリットが投球の中心となっている田中は「球速を武器にする投手陣の中で例外的な存在」だという。今季も今まで通りのピッチングで打者を打ち取るのか、それとも高めの直球をより多く投げることで幅を広げるのか。新球ナックルカーブを取り入れるなど“進化”を続ける右腕のピッチングに注目が集まる。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2