トヨタ×JAXA 月面探査へ向けて協力|月面走行車両も公開

JAXAとトヨタ、国際宇宙探査ミッションへの挑戦に合意

将来の月面でのモビリティ実現を目指して

JAXAとトヨタ、国際宇宙探査ミッションへの挑戦に合意

JAXAとトヨタは2019年3月12日、国際宇宙探査ミッションでの協業の可能性を検討していくことについて合意した。

その第一弾として、これまで共同で検討を進めてきた「燃料電池車(以下、FCV)技術を用いた、月面での有人探査活動に必要なモビリティ『有人与圧ローバ』」について、さらに協力することに合意した。月面まで輸送し得るエネルギーが限られる中、この有人与圧ローバは月面で1万km以上の走行を可能にする。

有人与圧ローバとは

宇宙飛行士がシャツスリーブで一定期間居住可能な機能と空間を備え、宇宙服による乗降が可能で、飛行士の操作、遠隔操作及び自律運転により月・惑星表面上を持続的に移動可能な機体。

国際宇宙探査ミッションについて

人類の持続的な繁栄を目指し、「人類の活動領域の拡大」と「知的資産の創出」を目的として、人類が大気圏を超え、月・火星を目指す。

その実現には、小惑星リュウグウへのタッチダウンに成功した小惑星探査機「はやぶさ2」のような無人探査と、ローバにより宇宙飛行士が月面で活動するような有人探査の協調が必要不可欠となる。月や火星の探査というチャレンジングなミッションに、各国が競争しながら技術を高める一方、協調した取り組みも進んでいる。

トヨタ 社長 豊田 章男氏のコメント

ソフトバンクとトヨタ自動車、新しいモビリティサービス構築に向けた戦略的提携に合意[2018年10月4日] トヨタ自動車株式会社 豊田 章男 代表取締役社長

自動車業界としては、これまで「ホームタウン」「ホームカントリー」を念頭に取り組んできましたが、これからは、地球規模の環境問題への対応など、我々の故郷である「ホームプラネット」という概念が非常に大切になってきます。

国・地域といった枠を越えて、どのような役割を果たしていけるのかを考え続けている私たちと、国際宇宙探査は志を同じくするものだと思います。また、クルマは地球上のあらゆる地域で使われており、地域によっては生きて帰ってくるための相棒として活躍しています。

今回のプロジェクトに求められることは、まさに生きて帰ってくるということだと思います。そうしたプロジェクトに、これまで培ってきたトヨタの車両の「耐久性、走破性」と「FC」という環境技術に期待を寄せていただいていることを大変うれしく思います。

JAXA 理事長 山川 宏氏のコメント

JAXAでは、我が国の国際宇宙探査への参画に向けて、国際調整や技術検討を進めており、我が国として優位性や波及効果が見込まれる技術で貢献することを目指しています。

今回、トヨタ自動車様が国際宇宙探査に挑戦する“仲間”に加わっていただき、大変心強く思います。有人与圧ローバは、本格的な月面の探査・利用において重要な役割を担う要素であり、我が国の技術力を結集して技術検討に取り組んでいきたいと考えています。

今後の共同検討により、トヨタの優れた走行に関する技術力を活用させていただき、有人与圧ローバの実現に向けて、技術検討が加速していくことを期待しています。

JAXAとトヨタが検討を進める「有人与圧ローバ」コンセプト案

・全長×全幅×全高:6.0m×5.2m×3.8m(マイクロバス約2台分)

・居住空間:13立法メートル(4畳半ワンルーム程度)

・2名滞在可能(緊急時は4名滞在可能)

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