SixTONES京本大我の表現力豊かな美声が響き渡る!

ジャニーズJr.内のユニット・SixTONESの京本大我が主演を務めるミュージカル「HARUTO」の幕が、東京の「品川プリンスホテル クラブeX」で上がった。京本にとって初の主演ミュージカルとなる今作は、2018年3月に公演され話題を呼んだミュージカル「恋する♡ヴァンパイア」のスピンオフ作品。同作の主役・哲(戸塚祥太)の敵だったハルト役を連投している。

物語の主軸は、ヴァンパイア貴公子として生まれたハルトの葛藤と成長。幼い頃に母親を亡くしたことで心に深い傷を負い、城の中でこもりがちな生活を続けていたハルト。そんな中、父親のデレック(伊藤明賢)から「ハイスクールに入るように」と命じられる。気弱な性格のせいでクラスになじめないハルトは、ある日、人間狩りの授業で一人の女性・リセ(能條愛未)に出会う。一目見てリセに心を奪われたハルトは…。

全23曲あるという今作は、序盤からキャストたちの熱唱で盛り上がり、円形舞台とプロジェクションマッピングを利用した華やかな演出が物語をさらに彩る。中でも、ほぼ出ずっぱりで歌い続ける京本は、主役ならではの輝きと活躍で、その姿からは常に目が離せない。母の死を救えなかったことを悔やんで苦しんでいる時の歌声は頼りなくはかなげで、ハイスクールに入ってクラスメートたちに囲まれた際は大きな戸惑いの声の中にも、かすかに知らない世界が開いたことのワクワク感が垣間見える。そして、リセと出会ったことで初めて芽生えた恋心――。喜びと動揺が入り交ざった表情で紡ぎ出される歌唱は、観客側の心をも自然と浮き立たせる。さらに後半以降の怒濤の展開の中で見せる怒りの様子などを含め、京本の声は全編を通して実に感情豊かに会場中に響き渡る。これまでも舞台やグループの歌などで高い評価を得ていた彼の歌声だが、今作での主演という大役を経て、さらにミュージカル俳優としての新たな殻を破ったように感じられた。

また、剣や拳を使った激しいアクションシーンが見られるのも魅力の一つ。花や絵を描くための筆しか持っていなさそうだったハルトが、闘争に巻き込まれることで徐々に潜在能力を発揮していくことに。金の髪を振り乱しながら殺陣を繰り出す京本の姿には、息をのむ迫力と美しさがある。特に三浦海里扮(ふん)するオオカミ族のリーダー・エリックとの激しいバトルは必見だ。

ミュージカル「HARUTO」は3月16日の大阪・森ノ宮ピロティホールで千秋楽を迎える。京本はその後、夏の人気大型ミュージカル「エリザベート」での、3度目の皇太子・ルドルフ役も控えている。「HARUTO」で自身の悲しい宿命に思い悩む貴公子役を見事に演じきった彼が、今度はどんな葛藤の皇太子役で魅せてくれるのか。今から楽しみでならない。

取材/松木智恵 撮影/藤木裕之

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