挫折を乗り越え、ニューヨークで第2のチャンスを掴む ダンサー、「AK ダンス 」主宰者 亀井彩花さん

亀井彩花さん イギリス留学を経て、2011年に来米、パーチェス大学入学。15年メトロポリタンオペラ入団。16年に自身のバレエ教室「AK ダンス」を設立。
Morgan McEwenさん 「MorDance」ディレクター 振付師として、アヤカと仕事をすることは長年の夢でした。スタジオでは知性的でどんなチャレンジも乗り越え、ステージでは魅惑的でダイナミック、そしてパワフルです。彼女のような才能を持つダンサーと出会えて幸運です。

ダンスに興味を持ったきっかけは?

3歳の時に、姉が入団したクラシックバレエの教室に付いて行ったのがきっかけでした。その発表会の舞台で拍手をもらった時に、もっと舞台に立ちたい、もっとうまくなりたいと魔法にかかってしまいました。

高校2年生の時に、ちゃんとダンスをやろうと決心し、高校を退学して愛媛から東京に出て、さまざまなオープンクラスを受けて回りました。その後イギリスのバレエ学校に3年間留学しました。

卒業後、欧州各国でオーディションを受けた中で、唯一受かったバレエ団に入ったのですが、そこが入団後3週間でつぶれてしまって。すべてを犠牲にしてやってきたのに、結果が出せなかったことで、私はダンサーになる運命ではないのだ、向いていないのだと夢を諦めて日本に帰りました。

挫折して帰国後は?

大学に行こうと受験勉強を始めましたが、やっぱりダンスがないと私ではないと気が付いてしまい、ニューヨークのパーチェス大学ダンス学部を受けたら合格。これは神様がくれた第2のチャンスだと思って、またダンスを始めました。

そして卒業後、メトロポリタンオペラの一般応募を受けて、およそ500人の応募者から選ばれた約10人の中に入りました。

難関突破の決め手は?

その年はアジア系のオペラ公演「トゥーランドット」と「蝶々夫人」があったので、アジア人が必要だったことと、オーディションで得意のジャンプを見せる機会があったこと。運が良かったと思います。 

でも、実力がないと毎年契約更新はしてもらえないので、まじめに努力しているところを見てくれていると思います。私はさまざまなジャンルのダンスができるので、それも強みです。

地元・愛媛県の立脇紘子バレエ研究所での、コンテンポラリーのクラスにて。昨年は愛媛県文化協会の地域文化奨励賞も受賞

仕事はどんなことをしていますか?

メット以外に「Morダンス」や小さなカンパニーで踊る一方で、教師として、私自身の教室「AKダンス」をはじめ、いくつかの教室で教えています。

大変なことは?

教える場合でも、レッスン以外に、生徒のダンスの振付や構成などを一日中考えているので、それが結構きついです。タイムマネージメントのためにメモを取るようにしていますが、自分の踊りも覚えないといけないので、日々大変です。

ダンスカンパニー「MorDance」の公演で、同僚のAmy Saunderと一緒に踊った時のワンシーン。今月28日(金)にも公演を行う(www.mordance.org)

喜びを感じる瞬間は?

ダンサーとしては、やはり舞台に立つ時の喜びが一番大きいです。教師としては、生徒が上達したり、教えたことを理解してくれた瞬間はうれしいですね。

今後の予定は?

ブロードウェー系のツアーが入る予定なので、活躍の舞台をさらに広げていきたいです。教師としては、「やさしく楽しい」を基本にしたレッスンを生徒に与え続けていきたいです。
 最終的には誰かの人生に影響を与えられることが目標。誰かが落ち込んでいる時に、ダンスを見て人生が変わったという瞬間に関われたらうれしいです。

オフの時は、リラックスするためにヨガをやっている。呼吸に集中して、ダンスのことを考えない時間を作ることはとても大事

『若者の日常チェック!』
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