困難乗り越え、たくましく 翔陽高日本拳法部

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3年生との最後の稽古の後、仲間と談笑する向勇輝さん(前列手前から2人目)=大津町の翔陽高武道場

 1日に熊本県大津町の翔陽高を卒業した春日拓樹[ひろき]さん(18)。高校生活も間もなく終わる2月23日、日本拳法部の後輩19人と最後の手合わせをするため、同級生4人と稽古に向かいました。

 朝9時。吐く息が白くなるほど冷え込んだ学校の武道館に、気合に満ちた掛け声が響き、熱気が一気に高まりました。3年前の熊本地震後も懸命に部活を続けた卒業生5人も生き生きとした表情で加わっています。

 春日さんは地震で南阿蘇鉄道が不通になり、高森町から大津町へ転居しました。「でも自分は恵まれていた。不便な中で頑張っている後輩がいる」と言います。南阿蘇村立野の山腹崩壊でJR豊肥線が寸断され、代替バスで阿蘇市から通学している4人のことです。

 2年生の向勇輝さんもその1人。午前7時半からの朝練習に間に合うよう、平日は5時半に自宅を出て宮地駅で代替バスに乗ります。迂回[うかい]路のミルクロードを通り、学校の最寄りの肥後大津駅まで1時間ほどかかります。それでも、「最初はきつかったけど、だんだん慣れました」。

 バスは土曜に便数が減り、日曜は運休します。家族の送迎に頼るしかありません。「両親は休日にゆっくりしたいはず。いつか結果で恩返ししたい」と向さんは気遣います。

 地震で苦境に置かれても練習に打ち込む19人は着実に前進し、この春は30日に開幕する全国高校選抜大会に挑みます。困難を乗り越えながら一回りたくましくなった教え子たちに、最上哲監督(56)は頼もしさを感じています。「覚悟を持って入学してきた子ばかり。忍耐力もつき、勉強も部活もよく努力しています」(元村彩)

(2019年3月15日付 熊本日日新聞朝刊掲載)