トレード期限、球宴、ロースター枠など ルール変更が決定

メジャーリーグ機構とメジャーリーグ選手会は今季から2シーズンにかけてのルール変更について交渉を行い、リリーフ投手の起用法、ロースター枠、トレード期限、オールスター・ゲームなどについて合意に達した。また、試合時間の短縮を目的としたルール変更も一部盛り込まれているが、現行の労使協定(2021年まで)のなかでは「ピッチ・クロック」の導入は見送られた。なお、新たな労使協定について交渉する際に、より広範囲のルール変更について交渉を行うことで合意している。ここでは今季または来季から適用されるルール変更を紹介する。

◆2019年シーズンより適用されるもの
【イニング間】イニング間の時間が全国放送の試合では2分25秒から2分、ローカル放送の試合では2分5秒から2分にそれぞれ短縮される。また、コミッショナー事務局は2020年シーズンから1分55秒に短縮する権利を有している。

【トレード期限】ウエーバーを介したトレード期限が削除され、トレード期限が7月31日(現地時間)に統一された。7月31日以降も選手をアウトライト・ウエーバーに置き、獲得希望球団はクレームすることが可能だが、7月31日以降のトレードは禁止となっている。

【オールスター】ファン投票が2回に分けて行われることになった。1回目は従来通りの方式で各ポジション上位3名(外野手は6名)を選出し、2回目は「エレクション・デー」と定められた1日で投票を行い、オールスター・ゲームのスタメン出場選手を決定する。また、延長戦は無死二塁の状況で開始されることになり、いわゆる「タイ・ブレーク」が導入された。

【本塁打競争】賞金の総額が250万ドルに増額され、優勝者は賞金100万ドルを手にすることになった。

【マウンド訪問】1試合あたりのマウンド訪問可能回数が6回から5回に削減された。

◆2020年シーズンより適用されるもの
【ロースター枠】開幕日から8月31日(現地時間)までのロースター枠が25から26に拡大される。これに伴い、アクティブ・ロースターの必要最少人数も24から25、ダブルヘッダー時のロースター枠も26から27となる。また、9月以降の登録可能人数は40から28へと大幅に削減される。

【二刀流】選手はアクティブ・ロースターに登録される前に「投手」または「野手」に分類され、シーズン中は変更できない。また、投手として20イニング以上、野手として20打席以上に出場した選手は「二刀流選手」として登録可能となる。「野手」に分類された選手の登板は原則として禁止となるが、①「二刀流選手」である場合、②延長戦に突入した場合、③7点差以上がついている場合は登板可能となる。

【ワンポイント禁止】登板した投手は、故障や病気の場合を除き、最低でも打者3人と対戦するか、そのイニングを投げ終える必要がある。よって、いわゆる「対左打者のスペシャリスト」が左打者1人と対戦して降板するような起用はできなくなる。

【故障者リスト】故障者リストの最低日数が10から15に戻され、それに伴ってマイナー降格となった投手が再登録可能になる日数も10から15となる。各球団が故障者リストの最低日数が短縮されたことを逆手にとって、投手の調整や休養に利用するケースが目立ったため、結果的に登板可能な投手が多くなり、投手交代の増加=試合時間の長期化につながった。これを防ぐ狙いがあると見られている。

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