レッドアローと「翔んで埼玉」

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飯能駅に着いたレッドアロー

 思いつきで埼玉県飯能市に同僚と一緒に出掛けた。特に飯能に目的があったのではなく、西武池袋線を走る10000系特急「レッドアロー」に乗るのが主目的。10000系は1969年デビューの元祖レッドアロー5000系に次ぐ2代目として93年に登場したが、今年3月16日に池袋線でデビューする新型特急「ラビュー」に順次置き換えていくそうだ。

 ならば池袋線から消える前に10000系に乗っておこう、ということで久しぶりにごった煮タウン池袋に。ふと東池袋方面を見て高層ビルの林立にびっくり。これからは東池袋地区が発展の中心なるような予感…。

 西武池袋駅ホームに入るとホームの端の奥まったところに乗り場があった。高校時代はこのホームから5000系レッドアローで芦ケ久保や秩父に同級生と小旅行をしたものだ。当時、5000系は派手ないでたちで学校でも評判だった。

 土曜日の車内。10000系は思いの外、混雑していた。発車すると、何か懐かしい雰囲気に包まれる。何だろう?うん、これは古い時代にありがちなモーター音だ。それに加えて線路の響き、結構な揺れが長い車両の歴史を感じさせる。

 静かさや窓の大きさ、快適な乗り心地を売りにした昨今の車両が多い中、何とも時代を感じさせる。車内装備もシンプルで乗り心地も別に悪くはないがすこぶる良いわけでもない。まあ、昔ながらの有料特急車両というイメージで、それがまた線路の揺れや音と相まって「昔ながらの」世界に自分をいざなう。

 所沢で半数が下車した。こんな近くでも有料着席への需要はあるのだな、と痛感。以後、入間市に停車して1時間足らずで飯能到着。

 それにしても次に待ち受けるラビューの容姿はユニークだ。レッドアローの名前を継がずに新名称にするところに西武の意気込みを感じる。シルバーボディにまん丸な正面、極端に大きな窓。丸ノ内線といい、最近まん丸がはやっているのかな。残念ながら期待していた道中での出会いはなかったが、3月16日デビューだから機会あれば乗ってみたいものだ。

(上)レッドアローのロゴ、(下)飯能駅で手にした西武のパンフレット

 さて、落ち着いた飯能の町をぶらぶらした後、立ち寄った居酒屋で駅にあった西武のパンフレットを取り出してみると映画「翔んで埼玉」がPRされていた。ちょうど数日前に観たばかり。実にくだらない!と思いつつ面白かった。ストーリーというより出てくる地名が渋すぎるからだ。地理が分からない人には難解な場面が多数あったろう。

 わたしは①草加せんべいを踏み絵にして埼玉への忠誠度を図る②主演のGACKTが「“東京度”を確かめさせられる」ため、3つの瓶に入った東京の街の空気をかいで町名を当てるシーンで「そこはかとなく香るカレーのにおい」(はっきり覚えていないが)を見事に西葛西の空気のにおいと当てた点―あたりに映画の渋さを感じた。

 江戸川をはさんで埼玉県民と千葉県民が戦う場所が流山橋というのも流山の位置を知らないと面白さ半減かも。ほかにも地元になじみのうどん店など埼玉度満載だった。

 底流には東京なにするものぞ、の勢いが漂っていた。そんな熱い埼玉はJRでも西武でも東武でもみんな複雑な乗り入れ形態で東京、神奈川とを気軽に行き来している。

☆共同通信 植村昌則