オープン戦でシーズンは占える? 2018年オープン戦成績とシーズンを比較

広島・緒方孝市監督(左)と西武・辻発彦監督【写真:荒川祐史】

昨季日本シリーズで対戦の2球団はいずれも4割未満の勝率に

 プロ野球のオープン戦は16日から終盤戦に入る。29日のセパ同時開幕に向け、各チームはそれぞれ15試合前後のオープン戦をこなすが、主な目的はシーズンに向けた各選手の調整でチームの勝敗を度外視して行われている。

 ソフトバンクの日本一で終わった2018年シーズンだったが、開幕前、各球団のオープン戦成績はどうだったのだろうか。まず、昨シーズンのオープン戦チーム順位から見ていこう。

(左から勝-負-引き分け 勝率 カッコ内はシーズン成績)

1 巨人 11-5-1 .688(67-74-5 .486)
2 ロッテ 8-4-2 .667(59-82-3 .421)
3 楽天 9-5-2 .643(58-82-3 .414)
4 DeNA 8-5-2 .615(67-74-2 .475)
5 オリックス 7-5-3 .583(65-73-5 .471)
5 日本ハム 7-5-3 .583(74-66-3 .529)
7 西武 8-6-2 .571(88-53-2 .624)
8 ヤクルト 6-6-4 .500(75-66-2 .532)
9 中日 7-9-1 .438(63-78-2 .447)
10 ソフトバンク 5-10-1 .333(82-60-1 .577)
11 広島 3-9-2 .250(82-59-2 .582)
12 阪神 2-12-2 .143(62-79-2 .440)

 リーグ制覇を果たした西武はオープン戦から勝率がよかったが、リーグ3連覇を達成した広島は大きく負け越し。それでも開幕戦から4連勝を飾っており、調整力の高さをうかがわせた。日本シリーズ進出を決めたソフトバンクも10位と低調だった。6割を超える勝率を残した上位4球団はレギュラーシーズンではいずれも5割に満たなかった。

 次はそれぞれの個人成績を見ていこう。まずは打者から。

○打率上位5傑
1 内田靖人(楽) .386
2 鈴木大地(ロ) .368
3 荻野貴司(ロ) .366
4 倉本寿彦(De) .364
5 島内宏明(楽) .340

○打率ワースト5
35 銀次(楽) .118
34 山川穂高(西) .136
33 中村悠平(ヤ) .159
32 桑原将志(De) .167
31 大和(De) .170

○本塁打
1 内田靖人(楽) 4
1 宗佑磨(オ) 4
1 アルモンテ(中) 4
1 岡本和真(巨) 4

 オープン戦で打率3割超えを果たした選手は9人いたが、その中でシーズンも打率3割超を達成したのはソト(DeNA)のみ。規定打席に到達した選手も5人と約半数だった。首位打者の内田は4本塁打(1位)、12打点(2位)と大爆発したが、シーズンでは58試合の出場で12本塁打を放ったものの、打率が2割を切るなどの不調に。大ブレークを果たした岡本和真(巨人)は打率が.267ながらも、オープン戦トップタイの4本塁打、15打点を記録。早くも覚醒の予感を感じさせた。一方、初の規定打席到達で二冠王を獲得した山川は打率.136、ロッテの4番を務めブレークした井上晴哉は打率.200という低打率に終わっていた。

最高勝率のロッテ・ボルシンガーは防御率8点越えでワースト1位

 次は投手を見ていこう。

○防御率上位5傑
1 西勇輝(オ) 0.49
2 加藤貴之(日) 0.60
3 酒居知史(ロ) 1.06
4 岸孝之(楽) 1.13
5 小笠原慎之介(中) 1.35

○防御率ワースト5
24 ボルシンガー(ロ) 8.36
23 薮田和樹(広) 5.52
22 マルティネス(日) 5.50
21 熊原健人(De) 5.28
20 石田健大(De) 5.17

 防御率1位だった西はシーズンでもリーグ5位の3.60、4位の岸は最優秀防御率(2.72)を獲得し、安定した成績を残した。オープン戦好調で、シーズンでの飛躍が期待されていた加藤、酒居、小笠原の若手3投手はいずれも規定投球回未到達、防御率も3点台に乗らず、悔しいシーズンとなった。新外国人だったボルシンガーとマルティネスはオープン戦では打ち込まれ不安を残したが、終わってみればボルシンガーは13勝を挙げ、マルティネスもイニングイーターとして投手陣を支えるなど、欠かせない戦力となっていた。

 オープン戦は調整期間の意味合いが強く、また試合数も多くないため、シーズンの成績とはあまり関係しない。今年のオープン戦成績もあくまで参考程度の記録としてみるのが正しいだろう。ただ、新外国人選手や、昨年まで1軍でなかなか見ることのできなかった期待の若手選手が多く出場しているため、彼らの活躍ぶりを見るのも楽しみと言えそうだ。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2