「いのちの電話」苦境 相談員減 24時間態勢限界

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「茨城いのちの電話」の相談窓口。相談員の席が空席となり、夜間受けられない日が出ている

■養成講座に学生料金

電話で心の悩みを受け止めるボランティア団体「茨城いのちの電話」が、苦境にあえいでいる。相談員が減少を続け、24時間態勢が維持できなくなっているためだ。昨年の茨城県内自殺者は462人(県警まとめ)と減少傾向にあるものの、深刻な状況がうかがえる相談も多い。団体は「つながらない電話を1本でもなくしたい」と、今年から相談員の養成講座に学生料金を設定。一人でも多くの人に講座を受けて、ボランティアに参加してもらえるよう呼び掛けている。

◆1割が自殺願望

「生きているのがつらい」「やっとつながった」。電話口で悲痛な声が聞こえてくる。

団体によると、昨年1年間につくば市と水戸市の2拠点で受けた総受信件数は2万362件。うち自殺傾向のある電話は約1割の2012件あった。多田博子事務局長は「年間通じて、うつ病などの精神疾患を抱えた人からの電話が多い」と話す。

団体は1985年に開設され、91年から24時間態勢の電話相談が始まった。相談員は、主婦や会社員などで、2年間の養成講座を受けた完全無償ボランティアだ。仕事の傍ら交代で相談を受けている。

しかし、近年、高齢を理由にやめる人も出ており、相談員が減少。99年の289人をピークに、2017年は195人に、昨年は162人まで減った。平均年齢は60代半ば。相談員の高齢化が影響し、14年から、夜間の電話相談を受けられない日が月間で6〜7日出ている。多田事務局長は「高齢化で夜間の運転が厳しいなどの理由で、5年前から夜間帯がポツポツと空くようになった。心苦しい」とこぼす。

◆一期一会

水戸市の自営業、70代女性は開設当初からの第1期生。34年間、月に2、3度相談窓口に通う。電話相談は一期一会。これまで、さまざまな人の心の声に耳を傾けてきた。東日本大震災の被災地からあった電話は、風の音でかき消され、途中で切れてしまった。交通事故で家族を亡くし、自分だけ生き残った人が自殺を考え、悲痛な思いを訴えてきたこともある。

一方で女性は相談内容の変化を肌で感じている。「一方的に日常会話を話して切ってしまう電話が増えた。話し相手を求めている」。人間関係が希薄になりがちな現代の傾向を感じ、「スマートフォンなどの普及で便利になった一方、人と人の生の会話が減った。(文字だけでなく)人の声が必要」と強調する。

第1期生は約90人いたが、今では女性を含め3人になった。「継続できたのは、相談者に寄り添いながらも育てられてきたから。仲間がいたから」と話した。

団体は第35期の相談員養成講座の受講生を募集している。講座は6月〜2021年3月までの約2年間。「電話相談の基礎」「電話相談の実際」など5課程を学ぶ。応募資格は23歳以上。受講料は1課程7千円(計3万5千円)。学生は同2千円(計1万円)。締め切りは4月15日。問い合わせは事務局(電)029(852)8505
(鈴木聡美)