MLBの“一人一殺”禁止に現場混乱「気に入らない」「仕事がなくなる」

カブスのジョー・マドン監督【写真:Getty Images】

来季からワンポイントリリーフを禁止に…カブス・マドン監督「戦略に影響があるべきではない」

 大リーグ機構(MVP)と選手会(MLBPA)は14日(日本時間15日)、今季から来季にかけてのルール変更を発表。来季から投手は最低3人の打者と対戦しなければならなくなった。各球団は戦術やチーム編成の見直しが迫られる中、米全国紙「USAトゥデイ」は「MLBの新ルールが投手のスペシャリストたちを絶滅させるかもしれない」とのタイトルで特集を掲載。知将として知られるカブスのジョー・マドン監督らが新ルールを痛烈に批判している。

 マドン監督は昨季中に救援左腕ブライアン・ダンシングとサイド右腕スティーブ・シシェックの投手2人を左翼と投手で交互に起用する奇策を見せていた。指揮官は記事で「戦略に影響する変更は気に入らない。試合の長さについては、私は本当に関係ないと思う。戦略に影響があるべきではない」と新ルールに苦言を呈している。“一人一殺”を持ち場としてきた救援投手への影響は必至だ。知将は「左腕の救援スペシャリストにとっては痛いことだと思う。もっとクリエイティブになり、もっと完全な投手になることが求められる」と左のワンポイントとして活躍してきた投手たちを心配しているようだ。

 当の救援左腕ダンシングも記事内で不安を語っている。「正直、少しショックだったよ。仕事がなくなる投手たちもいると思う。左打者からアウトを取ることでキャリアを築いてきた左腕は多い。違う投球をしなければならなくなる投手、仕事を失わないために違う方法を見つけなければならない投手もいるだろう」。ダンシングは昨季48試合登板で投球回37回2/3と試合数よりイニングが少なかった投手の一人だ。

 今季のオープン戦で投球間隔を20秒以内に制限する「ピッチクロック」を試験導入するなど、試合時間短縮のために奔走しているロブ・マンフレッドMLBコミッショナー。「打者3人との対戦義務」の新ルール導入は来季からだが、試合にどんな影響を及ぼすか注目したい。(Full-Count編集部)

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