「打者・大谷」は月を追うごとに細かな修正 アナリストがイベントで明かす

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「Sports Analytst Meetup」が開催された【写真:武山智史】

こんな競技にもアナリスト? スポーツデータ分析に新風吹き込むイベント開催

「Sports Analytst Meetup」が2月24日、報知新聞社内で開催され、9競技12人のアナリストがライトニングトークと呼ばれるプレゼンテーションを実施。集まった聴衆80人はプレゼンに熱心に聞き入っていた。

 今イベントは運営メンバーがR言語というデータ解析用のプログラミング言語の勉強会において「スポーツに特化したデータ分析のイベントを開いたら楽しいのでは」と盛り上がったのが発端で、Twitter上の呼びかけには80人の定
員を上回る応募があり、抽選で参加者を決定するほどの盛況ぶりだった。

 まずは運営メンバーを代表してupuraさんが登場。スポーツアナリストの定義などの基本的な部分をおさらいしたあと、ウォーキングをテーマにしたデータ分析を紹介した。いよいよ本題のライトニングトーク。アナリストの存在が一般的になりつつある野球、サッカー、バスケットボールといった解析だけでなく、フィギュアスケートやゴルフに自転車、さらにはDoスポーツの領域として親しむ人の多い登山といったさまざまなジャンルの分析が披露された。

 野球の分析に関しては2人が登壇。まずはyakiunoojisanさんが2018年に日米の球界で話題となった「フライボール革命」を題材に話した。ボールを打ち上げることで、長打力が高まり、期待される得点力も高まる、というのが一般的なの認識であるが、事実は必ずしもそうではない。得点力を高めるには打球の初速158キロ以上、打球確度は26度~30度という条件が求められており、それを実現させるためには「高い再現性で打つ技術が必要」という結論を出した。

大谷は「打撃フォームを修正した8月は、真ん中付近のボールはほとんどがホームラン」

 また、提言として「データにこだわり過ぎると選手の主体性が失われ、野球の面白さは減少するのでは?」と述べ、「近年のデータ分析の進化によって失われてしまうこともある」という文系ならではの考えも明かした。

「大○半端ないって!」と一見するとサッカーの分析に思えるタイトルで、こちらも大谷選手に関するプレゼンを行ったのはtsuyuponさん。投手と打者、それぞれの月ごとの成績をコース別BABIP(本塁打を除きフェアゾーンに飛んだ打球の安打の割合)などを用いて分析した。

“投手・大谷”については「4月は真ん中周辺にボールが集まったが、5月になると右打者の外角低めに多くなった。それが防御率アップの要因では?」。“打者・大谷”については「打撃フォームを修正した8月は、真ん中付近のボールはほとんどがホームラン」と見解を明かし、細かな修正を月を追うごとに行っている大谷選手の調整力の高さを称賛した。また、「試合結果のデータだけでは“結果”しかわからない。変化球の握り方や足を上げるタイミングなど分析の前段階が必要になってくる」と語り、結果だけではなく過程の分析の必要性を述べた。

 今回のイベントでは、複数の登壇者が印象に残ったプレゼンとして、SHさんの「画像認識技術を使ってフィギュアスケートの回転不足を機械で判定してみた」を挙げた。一般のファンはおろか、選手を指導するコーチでもなかなか見抜くことができない「回転不足」について画像認識技術を使った分析手法を紹介。AIを使った分析を用いるなどして精度を高めることにも成功し、競技力向上へ光を当てた。

 このように従来はアナリストが存在していなかった競技にも、分析手法が登場してきたことで、ますます競技力の向上、そしてアナリストの発展、そしてスポーツ界全体の進化の可能性が見えてきた。

 イベント後に行われた懇親会では、来場者と登壇者が歓談する姿が終了時間まで続いた。スポーツアナリストを目指す人々にとって、今イベントは刺激のある場となっただろう。スポーツデータ分析への興味がより深まっていけば、スポーツアナリストの世界はさらに活性化されていくに違いない。(「パ・リーグ インサイト」武山智史)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)