統計不正の報告書

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 何とも分かりにくかった。「事実と異なる虚偽の説明があった」と指摘しながら「隠す意図までは認められない」という▲毎月勤労統計の不正に関し、厚生労働省の特別監察委員会は2月末に再調査の追加報告書をまとめた。厚労省幹部は不正を認識しておらず組織的な隠蔽(いんぺい)はなかった、と結論づけて▲一方、賃金伸び率が高水準となる結果をもたらした調査方法の変更については、官邸の意向を反映したという見方をきっぱり否定。「十分な合理性が認められる」と明記した▲共同通信の世論調査によると、この再調査結果に「納得できない」と答えた人は70%に上った。調査方法の変更を巡る政府の説明について「信用できない」と答えた人は68%。国民は厳しい目を向けている▲厚労省のもう一つの統計不正、賃金構造基本統計に関する報告書も先日公表された。訪問調査を勝手に郵送調査に切り替えていたことについて、報告書は「順法意識の欠如」などと厳しく批判したが、不正が始まった時期の特定はできなかった▲統計調査とは一つ一つの事例を積み重ねて国民生活の実情を明らかにするもの。その手法がいつからなぜゆがめられてしまったのかは十分解明されなかった。むしろ2件の報告書はうやむやに幕引きを図ろうとしている感を強めたのではないか。(泉)