長崎県議会を振り返って 県民への説明 もっと詳細に

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 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム。県は新年度一般会計当初予算案に関連事業費として本年度の倍の19億1800万円を計上した。反対地権者らが国に事業認定取り消しを求めた訴訟が継続する中、ダム本体工事費を初めて盛り込んだ形だ。注目される動きだったが、当初予算案発表時の報道機関の取材に対し、県側は本体工事費の金額は「言えない」として明らかにしなかった。
 19億1800万円のうち、ダム本体工事費が約5億円だと示したのは県議会委員会での総括質疑。県河川課は、この春に国が補助額を決めるまでは実際の事業費が大きく変わる可能性があるとして、「県民を混乱させないよう、国が補助額を決めるまで工事の内訳費用は明かさないつもりだった。議会で議員に問われたので答えた」と説明する。だが、当初の対応は妥当だっただろうか。
 長崎新聞社が昨年の知事選告示前に実施した県内有権者500人アンケートでは、石木ダム不要派(計36.4%)が必要派(計20%)を上回った。これを家庭に置き換えてみる。例えば家を建てるとき。総額だけ伝えて見積書を示さない業者はいないだろう。施主も建物本体がいくらで、庭などの外周りがいくらなのか説明してもらわなければ、値段が適正か判断できない。払うのが19億円で、家族で意見が割れているならなおさらだ。県財政課は一般論としながらも「税金の使い道はできるだけ詳細に丁寧に示すべきだ」と説明する。
 石木ダムを巡っては、中村法道知事は昨年の3選後、反対地権者との面会について、「できるだけ早い時期に機会を設けなくてはならない」との考えを示したが、それから1年以上たった今も実現していない。県は反対派の市民団体が求める公開討論会にも応じない意向だ。県が事業費を増額しダム本体の工事費を予算案に初めて盛り込んだことを受けて、県庁前で2月、ダム建設中止を訴える反対地権者や市民らの姿があった。
 こうした状況だからこそ、知事も県も、事業の公益性や必要性をもっと多くの県民に、もっと詳細かつ説得力を持って説明すべきではないか。どういった場でも、どんな反論にも、明確な根拠と論理を持ってダム事業の必要性と公益性を示す-。賛否が割れる事業に巨費を投じるのなら、それぐらいの気概と覚悟を示してほしい。