【MLB】「マジメだね」「色々教えてください…」イチロー&菊池、“凱旋会見”一問一答

来日記者会見を行ったマリナーズ・イチロー(左)、菊池雄星【写真:Getty Images】

デビュー控える菊池は順調な仕上がり、イチローは「早く時差ボケをなくして…」

 マリナーズのイチロー外野手、菊池雄星投手らが16日、アスレチックスと東京ドームで対戦する3月20、21日の「2019 MGM MLB開幕戦」に向けて、都内で記者会見を行った。15日に帰国したばかりの2人だが、5日後には本番が迫る。イチローは「一瞬一瞬を刻み込みたい」、菊池は「いい形でスタートを切りたい」と意気込みを明かした。

 7年ぶりの日本開幕戦を前にオープン戦では打率.080と結果が出なかったイチローは、苦しかった胸の内を吐露。また、菊池との絶妙なやりとりで会場を笑わせる場面もあった。2人の“凱旋”記者会見の主な一問一答は以下の通り。

――開幕カードへの意気込みを。

 菊池「すごく楽しみにしてきました。マリナーズ入団が決まってからですね、すぐに開幕戦は日本であるんだということで、ここを目指して準備を進めてきましたので、いいプレーをお見せできるように頑張りたいと思います」

 イチロー「早く時差ボケをなくしてチームメートも観光気分をなくして、みんなで頑張っていきたいと思います」

――菊池さん、メジャーデビューを日本で迎える気持ちは?

 菊池「まさかデビュー戦が日本で迎えることになるとは数か月前は想像してなかったんですが、このチャンスは2度とありませんので、チームとしての開幕2試合、いい形で(スタートを)切れればいいと思ってますし、僕自身もキャリアのスタートをいい形で投げきりたいなと思ってます」

――ここまでの仕上がりは?

 菊池「毎試合、収穫と課題と両方見つかった3試合だったんですが、すごくチームメートのピッチャー陣にたくさん意見を聞きながら、調整方法だったりとかを本当にみんな優しく教えてくださいましたし、そして、イチローさんからもたくさんのアドバイスをいただいて、監督やコーチのアドバイスや指導もあって、すごく環境も含めていいアジャストができたんじゃないかと思います」

 イチロー「僕は聞かれて答えただけで、僕からアドバイスしたことは1度もないです」

――アスレチックス打線の印象は?

 菊池「昨年もポストシーズンに出ている強いチームですし、まだ具体的に映像はまだ詳しくは見てないんですが、すごく強力打線ですので、自分の持てる力を全て出して、全力で抑えにいきたいと思います。

イチロー「今の自分が持てる技術、見せたいと思っています」

――イチローさん、日本で開幕を迎えることについて。

 イチロー「まずマイナー契約で始まって、この東京ドームのフィールドに立つことは簡単なことではなかったので、このチャンスをいただいたことを大変感謝しています。ただ、去年の春からのブランクもありまして、なかなか自分の思うような結果がキャンプでは全く出せなかったんですけども、ただ、過去の経験から2004年のあと、(メジャー記録の)262(安打)を打った翌年ですね、2005年のキャンプでは出た試合は毎試合ヒットを打ったんですけども、キャンプで、でも始まってみれば大変苦しんだシーズンになりました。一方で、春から20何打席ノーヒットで迎えた春のキャンプがあったんですけど、この年も結局は200本を達成して自分としてはいい年になったという経験もありますので、そういった経験を生かして、春に起こることって色んなことがあるんで、場所が変わって、大好きな日本でプレーするということで気持ちも全く変わりますし、今の自分が持てる技術、見せたいと思っています」

――開幕前に日本のチームと2試合プレシーズンマッチがある。チェックしたいことは?

 イチロー「そんなこと、ここで言うかなぁ。細かい話になるからねぇ。なかなか、この場では控えましょうか」

――菊池投手について。キャンプ、オープン戦で背中を見てきたと思いますが。

 イチロー「背中だけでなく前側も見てきましたから、結構見てきたと思うんですけども。どの選手にも言えることだと思うんですけども、まず3年しっかり結果を残して、そこでエースになってもらう。ここからだと思いますね。今年当然、頑張るわけですけど、その年のエースというのは毎年生まれるものですけど、3年やってしっかりそのチームのエースになる、ということはなかなかできることではないです。ただ雄星の場合はその力が十分にあるということをみんなんそう感じていると思うので、まず3年しっかり結果を残してほしいなと思います」

――前回の来日の体験も踏まえて時差ボケ対策は?

 イチロー「何も考えてないです。考えてもできないので。時差は19年目ですけど、慣れないです。なので、飛行機での過ごし方、着いてからの過ごし方、まぁテクニカルなことはありますけど、それでも難しいですね。時差には結局未だに慣れず、記者からの質問にも慣れず、アメリカ人のいい加減さにも未だに慣れていないという感じです」

――2012年から7年後にまた日本で同じユニホームでプレーすることにどういう思いがありますか?

 イチロー「これは大変大きなギフトなので、僕にとっては。どの一瞬も大切にして、これが終わった1週間後は振り返ることにこの時間はなるわけですから、一瞬一瞬を刻み込みたいと思います」

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――菊池さんはメジャーのボールなどにどう適応してきた?

 菊池「11月からMLBの公式球を使ってキャッチボールをして、『あ、意外といけるな』と思ってアリゾナに行ったらすごく滑って、最初は『どこにボールが行くんだろう』という形でスタートしてちょっと不安があったんですけど、日に日にアリゾナの気候にも慣れて、ボールにも慣れてきて、そこから自分の形というのができてきたかなと思ってます。実戦も3試合やる中で日本と同じで行くところ、もう少し工夫しなければいけないところが自分の中でも出てきましたので、すごくいいオープン戦、キャンプを過ごせたのかなと思います」

――いよいよ新たなシーズン。スタートに向けてどんな思いを持って取り組んできた?

 菊池「先ほども言ったのですが、まさか自分のデビュー戦が日本で行われる、そして、そこで投げることができるとは思ってなかったので、本当にそこをゴールというか一つの目標にしてオープン戦からしっかりアピールしなければいけないという思いできました。それくらいですね。そんな感じです。よろしいですか?」

 イチロー「マジメだね」

 菊池「教えてください、色々」(会場笑い)

 イチロー「僕はですね、昨年の春からのブランクがありまして、それでも十分に体が動く状態になったんですけど、当たり前のように結果を出して、当たり前のようにここにいるという状態を作りたかったんですけど、そうは実際にはならずに大変苦しみました。ここにキャンプの結果を踏まえて言えることは、ほとんどありえないことだと思うんですけど、やっぱり日本人であることですでに勝ち組なんだなというふうに思います」

――どの選手もいつかは決断することだが、いつプレーをやめるのか?

 イチロー「いつ分かるんですかね、そんなこと。それは僕にもわからないですねぇ。こういう質問に本当に慣れてないなと今また思いました。

 僕は2012年にトレードでシアトルからニューヨークに行ったわけですけど、その後は毎日その日を懸命に生きてきた。それを繰り返して、まぁ重ねてきました。マイアミに行ってからもそれは同じで毎日チームから……当然メジャーリーグというのは厳しい世界ですから、いつチームからそういう通達が来るのかも分からない。そういうふうに日々を過ごしてきたので、そしてまた今日ここにいる、という状態だということですね」

――昨年は大谷選手がメジャーデビュー。2年連続で同じ高校からメジャーリーガーが誕生したことについて、どう思う?

イチロー「えっと花巻?……東。監督さんにお会いしまして、この監督さんにお会いしまして、この春。挨拶しただけなんですけど、インパクトありましたね。僕より2つくらい年齢的に下になるんですけど、会った印象でしかないんですけど、カリスマっぽいですね。そんな雰囲気を感じました。僕にもなんかシートを作ってくれないかなと思いました」(会場笑い)(Full-Count編集部)

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