(1)選ばれる学びやへ 九州文化学園 小中学校開校 <狙い> 学校の存在 地域貢献に

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 長崎県の県北初の小中一貫校として九州文化学園小中学校は開校する。町に何をもたらし、選ばれるために何が必要なのか。保護者や教育関係者の視点から迫る。

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 2月下旬。坂道の先にある白壁の校舎に足を踏み入れると、柔らかな木の香りが漂ってきた。温かな木目が目を引く教室に、ベンゼン環を表現した六角形の机が並ぶ理科室。「順調にきている」。日に日に新しい表情に変わる校舎に、設計の担当者は充実感をにじませた。

 4月に長崎県佐世保市に開校する小中一貫校の九州文化学園小中学校。2011年に閉校した旧市立花園中(花園町)の校舎を改装する。初年度は小学1年生と中学1年生を18人ずつ受け入れる。

 「総合学園として小中学校をそろえたい思いもあった」。九州文化学園の安部直樹理事長は明かす。70年以上の歴史で幼稚園から大学までの教育機関を整えてきた。しかし土地を購入して一から学校を建設するには高いハードルがあった。そんな折、佐世保市が旧花園中の跡地活用策を募集。「(佐世保市中心部で)場所がよく、体育館以外は耐震化していた。タイミングが合った」

 “リスク”もあった。佐世保市の推計では人口に占める0~14歳の割合は2017年の13.4%から2025年には12.9%まで減少。安部理事長も県私立学校審議会で幼稚園の閉園や高校の定員減など少子化の実情を目の当たりにしてきた。「私立経営に逆風が吹く時代。地方の町で学費を払ってまで子どもたちが来てくれるのかとは思った」。それでも強調する。「学校があることでできる地域貢献がある」

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 「自分たちの学びやがどうなるのか気になっていた。とてもうれしい」。旧花園中の2回生で民生・児童委員の林俊孝さん(73)=祇園町=は声を弾ませる。

 1957年に開校し、「佐世保で一番の学校」を目指して勉強に励んだ。卒業後は地域の一員として同校の運動会や交流会に参加。一緒に学校を育んできた。しかし近隣の旧旭中と統合して祇園中になることが決まったとき、悔しさを覚えた。「歴史が消えた」

 あれから8年。校区には民家や商店に代わって駐車場が増え“人間臭さ”が減った。「子どもたちの顔が見られるのが一番の喜び。地域の子としてみんなで見守りたい」。息を切らして上った桜並木の坂道を子どもたちが再び歩く春を、心待ちにしている。

開校に向けて進む校舎の改装作業。広々とした理科室には六角形のユニークな机が並ぶ=長崎県佐世保市、九州文化学園小中学校