(3)選ばれる学びやへ 九州文化学園 小中学校開校 <保護者> 望まれる選択肢へ

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 絵を描きながらのびのびと遊ぶ子どもを見つめ、2人の女性が声をそろえた。「公立の学校は不安。それ以外にない」。

 いずれも4月から九州文化学園小中学校に子どもを通わせる。上のきょうだいは市立小学校に入学。しかし担任次第でクラスの落ち着きが左右されることや、勉強が得意な子どもが一歩先の内容を学習することを認めないような雰囲気に不満を抱えていた。

 女性(42)の子どもは、授業に集中できないほかの児童の手伝い役を頼まれることが多く、「勉強がしたい」と漏らした。「同じことを6年間繰り返すのか」。下の子どもの入学を控え頭を抱えていたときに開校を耳にした。「私立なら先生のレベルが保証されているだろうし、柔軟な教育をしてくれるはず。『絶対に入れる』と飛び付いた」

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 「いい環境やいい先生がいる学校に行かせたい親の思いは、佐世保でもくすぶっていたはず」。幼稚園、小学校受験専門塾を約30年運営する「カーサ・フェミニナ教育研究所」(福岡市)の今井博文社長はこう推測する。背景として、保護者が求める教育の多様化を指摘。子どもの夢や、したいことに対応できる学校を探す傾向があると分析する。これまで佐世保市内の小学校はすべて市立。市立以外の中学校は県立佐世保北中と聖和女子学院中の2校だけだった。「選択肢ができることは大きい」と評価する。

 一方、選ばれ続けるためカリキュラムを追求する必要性も強調する。英語もプログラミングも習い事として学べる環境はあるからだ。「学校がまとめて提供するのは魅力的だが、すでにあるコンテンツでは駄目だ」と今井社長。「誰が教えるかにこだわるなど本物の教育をしっかりとして、熱狂的な支持者をつくらなければならない」と念を押す。

 “出口”の課題もある。同校は系列の九州文化学園高への進学を原則としておらず、説明会でも「進学校ではない」と明言してきた。市内で中学受験を手掛ける学習塾の代表は「ITや英語を学んだ子どもが通る道はまだ学歴社会にある。世間に評価される大学へのルートをつくるべきだ」と訴える。

 子どもを入学させる女性も中学は別の学校に進ませようと考えている。だからこそ、新たな学びやに思いを託す。「卒業後に『ここの1期生なんだ』と誇れる学校になってほしい」

佐世保市の保護者が待ち望んだ私立の小中一貫校。期待に応え続けるためには質の高い教育や進路の充実が求められる(写真はイメージ)