困難 必ず乗り越える/伊調選手「東京」に意欲 闘志、求道心衰えず

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レスリング教室の合間に子どもたちと触れ合う伊調馨選手=16日午後、八戸市武道館

 「東京五輪(出場)への道のりは、過去4大会と比べても一番困難。でも必ず乗り越えたい」。レスリング女子の伊調馨選手(34)=青森県八戸市出身、ALSOK=が16日、中学まで汗を流した競技生活の原点である同市武道館で、東京五輪への強い思いを明かした。度重なるけが、そして追い掛けてくる新鋭。6月に35歳となる不屈の女王は闘志をかき立て、自らの集大成を懸けた闘いに挑む。

 リオ五輪を終えてからの道のりは、平たんではなかった。昨年4月、かつての恩師で、日本協会強化本部長だった栄和人氏によるパワハラ問題が発覚。練習中断などを乗り越え、10月の国内大会で、2016年リオデジャネイロ五輪以来のマットに立って優勝した。12月の全日本選手権57キロ級決勝では、リオ五輪63キロ級チャンピオンで10歳年下の川井梨紗子選手(ジャパンビバレッジ)相手に苦しみながら、残り10秒から逆転勝ち。底力を見せつけた。

 激しく体をぶつけ合う格闘技選手はけがが多く、選手寿命が短い。ところが18歳のときに世界選手権を初めて制した伊調選手は、以来世界のトップに立ち続けている。この日、八戸市武道館に姿を見せた所属先の大橋正教監督(54)は尊敬の念を込めて語った。「パワハラ問題の苦しみを力に変えたのは、彼女の意地。既に体力的なピークは過ぎているのに、体にむちを打ってやっている姿は、すごみを感じる」

 今年6月の全日本選抜選手権で伊調選手が優勝すれば、9月の世界選手権代表に決定。さらにメダルを獲得すれば、東京五輪切符を手にできる。ただ全日本選抜では、川井選手と再び激突することが予想される。世界でも新鋭が登場しており、予断は許さない。古傷を抱えながら、今は日体大を拠点にして学生らと手を合わせる。試合勘を取り戻そうと、必死だ。

 「レスリングは、やればやるほど難しい。2年というブランクを埋める作業を悩みながらやっている。自分のレスリングを突き詰めていくことが、勝利へとつながっていく」。競技を支える求道心が、V5という偉業への道を切り開く。

▼応援してくれる人たくさんいる

 伊調馨選手との一問一答は次の通り。

 -現在の調子は。

 「練習をしているが、いいときもあれば悪いときもある。うまく調整しながらやっている」

 -昨年12月の全日本選手権優勝を振り返って。

 「(東京五輪まで)少しぼやっとしていたものが道筋として見えてきた思いがある」

 -来月、リオ以来の国際大会となるアジア選手権に参戦する。

 「自分がどこまで(調子を)上げられるか、とても楽しみ」

 -東京五輪を目指す上で過去4大会と道のりは違うものなのか。

 「一大会一大会、道のりは違う。ただ今回の東京大会(出場)は一番困難な道だと思う。必ず(困難を)乗り越えたいなと思う」

 -5大会目の五輪に挑む原動力とは。

 「レスリングが好きだから。それだけ。でもやればやるほど難しい。今は2年のブランクを埋める作業を悩みながらやっている。自分のレスリングをどうつくり上げていくのかが難しい。でも逆にやりがいを感じる」

 -昨年発覚したパワハラ問題を振り返って。

 「今は自分が勝ち、そして自分のレスリングを築いていくことに必死。たくさんの方に心配を掛けた。東京五輪を目指し、頑張っている自分を応援してくれる人はたくさんいる。東京五輪という舞台に立ち、そして金メダルを取り、その方々に喜びを感じてもらいたい」