SBK第2戦タイ、ドゥカティのバウティスタが3レースで圧勝。開幕から負け知らずの6連勝果たす

 スーパーバイク世界選手権(SBK)第2戦タイのレース1、スーパーポール・レース、レース2がタイのチャン・インターナショナル・サーキットで行われ、アルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が3レースで優勝を飾り、開幕からの連勝を6に積み上げた。

 土曜日に行われたスーパーポールでは、アルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)がこれまでのポールレコードタイムを更新する1分31秒912でポールポジションを獲得。2番グリッドにはジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)、3番グリッドにはアレックス・ロウズ(パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム)がつけた。

■レース1:バウティスタがレコードブレイクの速さで4連勝飾る

 第2戦タイのレース1は、気温35℃、路面温度47度のドライコンディションで争われた。

 ホールショットを奪ったのはポールポジションスタートのバウティスタだったが、1コーナー立ち上がりで2番手スタートのレイがバウティスタからトップを奪う。先頭に立ったレイ、その背を追うバウティスタに3番手のロウズが続く。

 2周目にファステストを叩き出したバウティスタが3コーナーの突っ込みでレイに並びかけるも、レイがそのポジションを守ろうとした際に2台が交錯。あわや接触しかけたバウティスタがマシンの挙動を乱し、3番手に後退した。しかしバウティスタはすぐに2番手に浮上し、再びレイを追う。

 バウティスタは、一時は1秒以上に開いた先頭のレイとの差を徐々に詰める。7周を終えるころにはその差は0.5秒を切るまでになり、3コーナーのブレーキングではレイに接近。再びレイとのテール・トゥ・ノーズのトップ争いに持ち込んだ。そのラップタイムは、毎周わずかにバウティスタの方が速い。

バウティスタはレイを交わしたあと、その差を広げていった

 そして9周目、1コーナーから3コーナーにかけてバウティスタが一気に加速すると、レイをオーバーテイク。ついにバウティスタがトップに浮上した。レイを交わしたバウティスタはこの周にファステスト、1分32秒724を叩き出すと、さらにその翌周も1分32秒834をマーク。レイを引き離しにかかる。

 レイもバウティスタを追うが、レース中盤の11周終了時点で、トップのバウティスタと2番手のレイとの差は、すでに約0.8秒。その差はじわじわと、しかし確実に開き始めていた。

 一方、3番手争いはロウズとマイケル・ファン・デル・マーク(パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム)、マルコ・メランドリ(GRTヤマハ・ワールドSBK)とレオン・ハスラム(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)の4台が集団となって争われた。

 そんななか、残り5周を迎えるホームストレートで5番手走行中のメランドリの左サイドと、6番手のハスラムの右サイドが接触。幸いにして双方に転倒はなくそのままレースは続けられた。その後、ハスラムはメランドリを交わして5番手に浮上している。

 残り3周を迎えた時点で、トップのバウティスタとレイの差は4秒以上。すでにバウティスタは独走態勢でトップをひた走っていた。レイは後半にペースを落とし、バウティスタが1分33秒台で周回しているのに対し、1分34秒台のラップタイムであった。

レース1で優勝したバウティスタと2位のレイ、3位のロウズ

 バウティスタはそのままひとり旅を続け、トップでチェッカー。2019年シーズン開幕戦から負け知らずの4連勝を飾った。また、バウティスタが9周目に記録した1分32秒724は、これまでのレース中のファステストラップレコードを更新するものだった。

 2位にはやはりこちらも開幕戦から4レース連続の2位表彰台獲得となったレイ。3位にはチームメイト、ファン・デル・マークを振り切ったロウズが入った。

 4位にはファン・デル・マーク、5位争いはハスラムが制し、6位にメランドリが続いている。

第2戦タイのレース1、マシンの振動に苦しめられリタイアを余儀なくされた清成

 モリワキ-アルティア・ホンダ・チームからSBKに参戦している日本人ライダー、清成龍一はレース中にピットに戻り、そのままリタイアを選択している。

 以下、SBK第2戦タイ レース1の順位結果。

■SBK第2戦タイ レース1順位結果(20周)

Pos. No. Rider Team/Machine Time/Gap

1 19 A.バウティスタ Aruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R) 31’06.051

2 1 J.レイ カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR) 8.217

3 22 A.ロウズ パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1) 14.155

4 60 M.ファン・デル・マーク パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1) 14.623

5 91 L.ハスラム カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR) 18.554

6 33 M.メランドリ GRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1) 18.681

7 11 S.コルテセ GRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1) 25.603

8 21 M.ルーベン・リナルディ バーニーレーシングチーム(ドゥカティ パニガーレV4 R) 27.627

9 66 T.サイクス BMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR) 28.789

10 54 T.ラズガットリオグル ターキッシュ・プセッティレーシング(カワサキZX-10RR) 32.153

11 81 J.トーレス チーム・ペデルチーニ・レーシング(カワサキZX-10RR) 33.033

12 36 L.メルカド オレラック・レーシングVerdNatura(カワサキZX-10RR) 33.254

13 2 L.キャミア モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR) 34.232

14 28 M.ライターベルガー BMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR) 43.041

15 7 C.デイビス Aruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R) 54.495

16 99 T.ワロコーン カワサキ・タイランド・レーシング・チーム(カワサキZX-10RR) 1’15.758

17 52 A.デルビアンコ アルティア・ミエ・レーシングチーム(ホンダCBR1000RR) 1’25.108

RET 23 清成龍一 モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR) 12 Laps(リタイア)

RET 50 E.ラバティ チーム・ゴーイレブン(ドゥカティパニガーレV4 R) 18 Laps(リタイア)

■スーパーポール・レースは赤旗提示により終了

 レース1の翌日である日曜、スーパーポール・レースが気温35度、路面温度55度のドライコンディションのもと、行われた。

 好スタートから1コーナーに先頭で飛び込んだのは、レイ。しかし3コーナーへ向かう加速でバウティスタがトップを奪う。3コーナーでレイがバウティスタを交わすが、バウティスタがすぐさまポジションを奪い返し、オープニングラップはバウティスタ、レイ、そしてロウズの順で終えた。

 バウティスタは4周目を終えるころにはレイに対し0.5秒以上のアドバンテージを築くと、独走態勢に入る。バウティスタは1分32秒後半のラップタイムを刻み、2番手のレイは3周目でバティスタを上回るタイムをマークしつつも、その差は次第に開いていく。

 5周目に入るとすでに見た目上にもバウティスタとレイとの差は大きくなり、ぞれぞれ単独走行となる。また、ふたりの後に続く3番手のロウズも、単独でそのポジションを守っていた。その後方の5番手争いでは、ハスラムとメランドリが激しいポジション争いを繰り広げる。

 しかし7周目、赤旗が提示。このためレースは中断し、これをもってレースは終了となった。この赤旗提示は、レオン・キャミア(モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム)とワイルドカード参戦のティティポン・ワロコーン(カワサキ・カワサキ・タイランド・レーシング・チーム)による、3コーナーでのアクシデントが原因だった。

 ワロコーンはメディカルセンターに運ばれ、胸部の損傷や頭部外傷が確認された。その後、ブリーラムの病院に搬送されている。また、キャミアも脛骨脊椎剥離を伴う右膝ねんざを負った。

 スーパーポール・レースの結果は、バウティスタが優勝。2位はレイ、3位がロウズとなった。4位にはファン・デル・マークが入り、5位にはメランドリが続いている。モリワキ-アルティア・ホンダ・チームの清成は、2周目にピットインしてそのままリタイアを喫した。

 この結果により、レース2のグリッド順はポールポジションがバウティスタ、2番手にレイ、3番手にロウズがつくこととなった。

 以下、SBK第2戦タイ スーパーポール・レースの順位結果。

■SBK第2戦タイ スーパーポール・レース順位結果(6周)*赤旗提示により終了

Pos. No. Rider Team/Machine

1 19 A.バウティスタ Aruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R)

2 1 J.レイ カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR)

3 22 A.ロウズ パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1)

4 60 M.ファン・デル・マーク パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1)

5 91 L.ハスラム カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR)

6 33 M.メランドリ GRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1)

7 11 S.コルテセ GRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1)

8 7 C.デイビス Aruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R)

9 54 T.ラズガットリオグル ターキッシュ・プセッティレーシング(カワサキZX-10RR)

10 66 T.サイクス BMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR)

11 21 M.ルーベン・リナルディ バーニーレーシングチーム(ドゥカティ パニガーレV4 R)

12 36 L.メルカド オレラック・レーシングVerdNatura(カワサキZX-10RR)

13 81 J.トーレス チーム・ペデルチーニ・レーシング(カワサキZX-10RR)

14 28 M.ライターベルガー BMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR)

15 52 A.デルビアンコ アルティア・ミエ・レーシングチーム(ホンダCBR1000RR)

NC 99 T.ワロコーン カワサキ・タイランド・レーシング・チーム(カワサキZX-10RR)

NC 2 L.キャミア モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR)

RET 23 清成龍一 モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR)

NS 50 E.ラバティ チーム・ゴーイレブン(ドゥカティパニガーレV4 R)

■レース2:バウティスタがレイに10秒以上の大差をつけ、タイで3連勝を飾る

 スーパーポール・レース後、スーパースポーツ世界選手権(WSS)の決勝レースを挟み、SBKのレース2は気温36度、路面温度52度のドライコンディションのもと、始まった。このレースでは技術トラブルによりユージン・ラバティ(チーム・ゴーイレブン)が、また、スーパーポール・レースのクラッシュでの負傷によりキャミアとワロコーンが欠場している。

 スタートからリードを守ったのは、ポールポジションスタートのバウティスタ。2番手にレイ、3番手にロウズが続く、この週末に何度も見せた展開がオープニングラップから繰り広げられる。

 3番手のロウズは4番手スタートのファン・デル・マークに3コーナーでインに入られかけるも、立ち上がりでポジションをキープ。逆にファン・デル・マークはハスラムに交わされ、5番手に後退してしまう。

 序盤からハイペースで飛ばすバウティスタは、2周目を終えるころにはレイに対し約0.9秒ものアドバンテージを築いていた。バウティスタはペースを緩めず、3周目にファステストを叩き出すと、独走態勢に入る。

 2番手レイ、3番手ロウズが続くなか、4番手争いが激化していく。4番手を争うのはハスラムとメランドリ、ファン・デル・マーク、コルテセ、そしてチャズ・デイビス(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)だ。

 7周目、ファン・デル・マークがハスラムのインを突いてオーバーテイク。4番手に浮上する。この集団の最後方につけていたデイビスもコルテセを交わし、7番手に浮上。4番手争いを展開するファン・デル・マーク、ハスラム、メランドリを追う。

 しかしデイビスは8周目の4コーナーで突然ラインを外すと、スローダウン。そのまま戦線に復帰することなく、リタイアとなった。デイビスがリタイアしコルテセが遅れ、4番手争いはファン・デル・マークとハスラム、メランドリにしぼられる。

 レース折り返しの10周目を終えて、トップは変わらずバウティスタ。2番手のレイに対し、すでに4秒以上の差をつけて周回を重ねていた。

2番手のレイと3番手のロウズ。レイは最後まで2番手を守った
バウティスタは第2戦タイの3レースで優勝を飾った

 バウティスタは最後にはレイに対し10秒以上もの大差をつけ、トップでチェッカー。第2戦タイの3レースすべてで勝利を収め、開幕戦から6連勝を飾った。2位にはレイ、3位にはロウズが入り、それぞれ表彰台を獲得。今週末、チャン・インターナショナル・サーキットで行われたSBKの3レースすべて、同じ顔触れが同じ順番で表彰台に上がることになった。

 4位には中盤の接戦を制したファン・デル・マーク、5位にはハスラム、6位にはメランドリが続いている。

この週末で初めて完走を果たした清成。12位でフィニッシュ

 レース1、スーパーポール・レースともに途中リタイアとなった清成は、レース2では完走を果たし、12位でフィニッシュした。また、トム・サイクス(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)は4周目にマシンをコース脇に止め、そのままリタイアとなった。

 SBKのレース2の前に開催されたWSSの決勝レースでは、大久保光(Kawasaki Puccetti Racing)が4番グリッドからスタート。序盤は3番手に追い上げるシーンも見せた。

 WSSのトップ争いはジュール・クルーゼル(GMT94 YAMAHA)、ランディ・クルメンナッハ(BARDAHL Evan Bros. WorldSSP Team Y)、フェデリコ・カリカスロ(BARDAHL Evan Bros. WorldSSP Team Y)によって激しい戦いが繰り広げられ、最後にはクルーゼルがトップでチェッカー。2位にはクルメンナッハが入り、3位はカリカスロが獲得した。

 大久保は自己ベストタイとなる6位でフィニッシュを果たしている。

 以下、SBK第2戦タイ レース2の順位結果。

■SBK第2戦タイ レース2順位結果(20周)

Pos. No. Rider Team/Machine Time/Gap

1 19 A.バウティスタ Aruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R) 31’05.590

2 1 J.レイ カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR) 10.053

3 22 A.ロウズ パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1) 12.368

4 60 M.ファン・デル・マーク パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1) 17.378

5 91 L.ハスラム カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR) 17.518

6 33 M.メランドリ GRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1) 18.925

7 11 S.コルテセ GRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1) 23.281

8 21 M.ルーベン・リナルディ バーニーレーシングチーム(ドゥカティ パニガーレV4 R) 28.444

9 54 T.ラズガットリオグル ターキッシュ・プセッティレーシング(カワサキZX-10RR) 33.156

10 81 J.トーレス チーム・ペデルチーニ・レーシング(カワサキZX-10RR) 33.224

11 28 M.ライターベルガー BMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR) 40.164

12 23 清成龍一 モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR) 53.511

13 52 A.デルビアンコ アルティア・ミエ・レーシングチーム(ホンダCBR1000RR) 1’08.576

RET 7 C.デイビス Aruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R) 13 Laps(リタイア)

RET 66 T.サイクス BMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR) 17 Laps(リタイア)

RET 36 L.メルカド オレラック・レーシングVerdNatura(カワサキZX-10RR) スタートできず

RET 50 E.ラバティ チーム・ゴーイレブン(ドゥカティパニガーレV4 R) スタートできず

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