富留屋(上)【36】

室蘭・中央町

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胆振初の喫茶店併設

昭和3~5年ごろの写真。胆振地方で初めて喫茶店を併設した店舗を構えた。建設中の外観に「ナンダロー」とユニークな貼り紙をして興味を引いた

 1898年(明治31年)創業で昨年120周年を迎えた、室蘭市中央町の老舗菓子店「富留屋」。1952年(昭和27年)発売の「バター煎餅」「チーズ煎餅」は、59年のロンドン菓子博覧会で金賞を受賞し、店の看板商品として現在も人気だ。4代目の古谷公億代表取締役(60)は「子どもの頃に食べていて『懐かしい』と買いに来るお客さんが増えています」と話し、店の味を守り続けている。

 江差町出身で、函館の菓子店で修行した古谷雄太郎氏が現在地に店を構え、「ときわ餅」や昆布菓子「蝦夷の華」などを販売。当時、常盤町にあった公立室蘭病院(現市立室蘭総合病院)の患者の見舞いや、港湾関係者のおやつとして評判に。「蝦夷の華」は昔ながらの味で、現在も販売されている。

 2代目の長男、勇蔵氏はハイカラなアイデアマン。昭和初期、胆振地方で初めて喫茶店を併設した店舗を構えた。建設中の外観に「ナンダロー」とユニークな貼り紙をして興味を引いた。サンドイッチや洋菓子を販売し、店は大繁盛。レジを導入し、店内で映画観賞会を開くなどした。1940年(昭和15年)、35歳の若さで病気で亡くなった。

 3代目は勇蔵氏の弟で、11人きょうだいの10番目の嘉章氏。弱冠16歳だった。戦時中の物資統制で砂糖が手に入らず、41年から48年まで店を休んだが、その後は北海道のチーズやバターを使った煎餅を開発。サクサクとした食感と素朴な味が人気となった。室蘭市章をデザインした和三盆「紋菓むろらん」もロングセラーだ。現在約100種類のお菓子を販売し、そのほとんどが嘉章氏が開発したものだ。
(成田真梨子)

(2019年3月17日掲載)