三浦按針の魅力伝え1500キロの旅路 横須賀の田口さん

2月6日に横須賀市の久里浜港に到着した田口さん

 横須賀市のガス販売会社役員田口義明さん(71)が約5年ぶりに、徳川家康の外交顧問を務めた英国人ウィリアム・アダムズ(日本名・三浦按針)の功績を全国各地で伝える旅に出た。前回で最後にするつもりだったが、地元で大河ドラマ制作を求める署名活動が盛り上がりを見せ、その後押しをしようと4度目の挑戦を決めた。約4カ月かけ、1500キロ以上離れた按針臨終の地・長崎県平戸市を歩いて目指す。

 田口さんは、按針が領地として得た横須賀市逸見地区出身。幼い頃から供養塔が建つ県立塚山公園で遊び、中高生の頃にその功績を学んだ。按針の魅力を「過酷な船旅を生き抜いて日本に漂着し、日本語を覚え、家康に信頼され、領地を与えられるまでになった生きざまに、男のロマンを感じる」と熱く語る。

 そのほれ込みようは父親から継いだ会社を「按針」と改称するほど。会社を長男に譲って時間が生まれ、2007年、11年、14年と憧れの人のゆかりある地を巡る旅に出た。

 「前回、腰を痛めてしまい、体力的な限界を感じた。最後にしようと思っていたが、大河ドラマの制作を要望する署名活動が地元で盛り上がっており、後押しできればと思った」と田口さん。4度目の旅は、按針が日本に漂着した時に乗船していたリーフデ号に飾られていた木造立像を所蔵する龍江院(栃木県佐野市)を、自身の誕生日の今年1月23日に出発。按針が日本で初めての洋式帆船を建造した静岡県伊東市、リーフデ号が着いた大分県臼杵市などを訪れ、5月下旬に平戸市で開かれる「按針忌」に参加する予定だ。家康と初めて面会した大阪市にも初めて足を延ばす。

 田口さんはつえを片手に、重さ約5キロのリュックを背負い、道路標識を頼りに1日20キロを目安に歩いている。道すがら署名活動への参加も呼び掛けており、横須賀市からはゆかりの各市長への“親書”も託されたという。田口さんは「この旅でどんな出会いが待っているか、楽しみ」と笑い、元気に旅を続けている。

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