被災者と支援者が共に  参加者350人の「箭田クリーン作戦」

老若男女350人が参加。見渡す限り清掃活動の景色に

約350人での清掃活動

2019年1月26日、井原鉄道「吉備真備(きびのまきび)駅」周辺高架下で「箭田(やた)クリーン作戦」が開催された。これまで泥かきや片付けなどの作業と放課後のキッズサポートをボランティアで行ってきた「いのりんジャパン」が箭田地区まちづくり推進協議会と共に主催した。今回初めて、井原鉄道の高架下に残された大量のガラス・陶器の破片などを清掃するため呼びかけたもの。県内外から約350人が参加し、9時から13時まで行われた。

スタートは、地域の母親たちだった

清掃場所となった高架下は、浸水被害を受けた住宅から出された災害ごみの置き場になっていた。しばらくして災害ごみは撤去されたが、後にはクギやガラス、陶器の破片などが大量に残っていて、危険な状態だった。瓦礫の破片は、泥に埋もれていて見えづらい。流れ着いた泥は当時のままになっていて、雨が降ると側溝に貯まった泥で水は溢れてしまう。「危険な状態であっても、家や店など優先順位の高いものから手を付けていく。行政の対応にも限界があるため、今まで手付かずでした」と同代表の石原靖大さんは話す。

この活動をする前、近隣の学校に通っていた子どもの母親たちや地域の主婦たちがそれぞれに活動していた。自主的に行なっていた清掃活動に同団体と箭田地区まちづくり推進協議会も参加したことからスタートした。はじめは、作業や情報発信の補助をしていた。ゴミの量が多く終わりが見えなかったことからイベントにし、多くの人手を集めることにした。

参加者で連携し大量のゴミを収集

井原線「吉備真備駅」から二万(にま)口南の交差点までの約800mを11のグループにわかれて清掃した。被災した近隣地域の自治会、倉敷市立琴浦中学校や倉敷市立箭田小学校など生徒も参加した。倉敷高等学校・野球部員は試合前にも関わらず駆けつけた。限られたエリアの作業だったが、ゴミは細かく、最終的に土囊袋2800袋分の災害ゴミや土砂を拾うことができた。

現地に入り復興支援活動を続けるアーティスト「imim(いむいむ)」の音楽ライブや、生活協同組合おかやまコープがおでんを昼食に配布してくれ、参加者の身も心も温めた。被災して住む場所がバラバラになり、顔を合わせる機会がなくなった地域の主婦たちは、久々の再会できたことが嬉しかったという。

被災者も支援者も気軽にできる支援

「真備町に住む人もそれ以外の地域から来た人も、支援の方法が見つからず、災害ボランティアセンターから何をすればいいか教えてもらうことが多い。でも実は、今回の主婦たちのように地域に根ざして地道に活動している人たちがいる。さらに人を集めるために情報発信をサポートしていきたい」と石原さん。地域に入り、被災者も支援者も顔をあわせて行う清掃活動は、被災者の安心にもつながりより深い連携が可能になる。

次回の活動は3月21日、4月以降も検討をしている。

いまできること取材班
文章:杉原禎章
撮影:いのりんジャパン提供
編集:松原龍之

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