トガリツノザメ 水槽で出産 ペンギン水族館 初の展示

 長崎半島沖の深海で2月末に捕獲され、長崎ペンギン水族館(長崎県長崎市宿町)では初めての展示となったトガリツノザメが16日、4匹の子ザメを生んだ。小さな体でスイスイと泳ぐ姿が、来場者を楽しませている。同館によると、深海ザメが生きたまま捕らえられるのは全国的に珍しい。水槽内での出産は、アクアワールド茨城県大洗水族館で例があるものの、数は少なく貴重だ。

 トガリツノザメはツノザメ科。鼻先がとがっていて、シャープな姿が特徴。長崎ペンギン水族館によると、水深約100~約800メートルに生息し、成魚は1.1メートルほど。サメは卵生と胎生に分かれるが、トガリツノザメは胎生。

 親ザメは2月28日、野母崎樺島町の漁師、山本幸徳さん(51)が樺島漁港から約50キロ沖で、はえ縄漁の縄(水深約200メートル)で引き揚げ、その日のうちに同館が引き取った。5匹のうち1匹の腹が大きく、16日朝に飼育員が約25センチの子ザメを確認した。

 同館魚類担当の学芸員、大塚摩耶子さん(40)は「親自体を展示できる機会が少なく、赤ちゃんを見てもらえるのはうれしい。長崎の深い海で、命の誕生が起きていることに思いをはせてもらえたら」と話した。

 今後は長期飼育に向けた餌づけのため、親ザメと子ザメを別々の水槽で展示予定。同じ場所で引き揚げられたノコギリザメ2匹も一緒に展示しており、うち1匹に出産の可能性があるという。

トガリツノザメの成魚(下)と水槽内で生まれた子ザメ(右奥)=長崎ペンギン水族館

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