「開門調査は対象外」 諫干即時開門訴訟 評価委担当が証言

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門調査を巡り、諫早、雲仙両市の漁業者が国に即時開門を求めた訴訟の口頭弁論が18日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)であった。2017年の有明海・八代海等総合調査評価委員会報告書の作成に関わった根木桂三氏(当時・環境省水環境課閉鎖性海域対策室長)は「(原告が求める)中長期開門調査の是非は評価対象に含まれない」と証言した。
 評価委は有明海特措法に基づき環境省が設置。国などが行う調査結果を基に、有識者が水産資源の回復状況などを評価している。証人尋問は原告、被告双方が申請した。
 根木氏は「堤防閉め切りが海域に及ぼした影響は評価対象」としたが、開門調査については「将来に及ぶ個別の事業評価は有明海特措法に含まれない」と指摘した。
 根木氏は06年と17年の報告書を比較。「調査データや知見が充実し、覆砂(ふくさ)による底質改善効果などが記載された」と述べた。原告側代理人は「データの整合性や具体的な改善効果の裏付けがない」と反論。開門を含めた評価の必要性を主張した。

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