なぜ中日松坂を伊右衛門CMに起用? 担当者の思い「平成の怪物で終わるな」

中日・松坂大輔、巨人・村田コーチ出演の伊右衛門CMが話題【写真提供:サントリー食品インターナショナル】

中日・松坂大輔、巨人・村田コーチがサントリー緑茶「伊右衛門」CMに出演中

 中日の松坂大輔投手が出演しているサントリー緑茶「伊右衛門」新CM「こころの茶屋 怪物」編がファンの間で話題となっている。これまで芸能人が起用されるケースが多いテレビCMで、なぜ、現役プロ野球選手を緑茶CMに起用したのか――。サントリー食品インターナショナルのCM担当者に聞いた。

 平成の怪物と緑茶――。一風変わったテレビCMは3月2日から全国でオンエアされている。野球選手を抜擢したのは多くの困難を乗り越えて奮闘する松坂だったからという。

 日本のエースとして大リーグでも活躍。これまで日米通算170勝を挙げているが、ソフトバンクでNPBに復帰した2015年からの3年間は故障に苦しみ1軍1試合登板のみだった。CM担当者は苦悩を抱える現代人と右腕を重ね合わせたと言う。

「先行きのみえない社会で“心のざわつき”を抱える現代人に、お茶を飲んでホッとしてもらいたい、という思いを込めて展開しております。今回、松坂投手にご出演いただいたのは、数々の苦難を乗り越えながら平成の怪物として活躍し続けている松坂投手が抱いている“こころのざわつき”を伊右衛門夫妻の言葉で軽くして差し上げたいと考えたからです」

 CMは「こころの茶屋」を訪れた松坂が本木雅弘さん、宮沢りえさんが演じる伊右衛門夫妻の茶屋を訪問。差し出されたお茶を飲むと、同世代の巨人・村田修一コーチから送られた「お前は俺ら世代の誇りだからよ。咲けよ、大輔」とのエールを思い出す内容となっている。CMの最後には「妖怪か」とつぶやく本木に、松坂自らが「怪物です」とツッコむウィットに富んだ内容となっている。

「松坂投手を応援する内容であったとしても、CMを見た方が『自分も応援されている』と感じてもらえるか、を大切にしています。松坂投手にもテレビの視聴者にも共通して届けたいメッセージを探していく中で『人生には冬もある。でも必ず春が来る』という言葉が浮かびました」

CM担当者「5月で平成が終わるという節目のタイミング。『平成で終わるな』という意もこめて」

「『春』と重なった事もあり、満開の桜の中で『咲けよ』、絶対に返り咲けよという言葉が相応しいと考え、村田コーチにお願いしました。5月で平成が終わるという節目のタイミング。『平成で終わるな』という意もこめて『怪物』というワードを登場させています」

 このCM担当者は30代。松坂が横浜高で甲子園を春夏連覇した1998年は中学野球部に所属。松坂の活躍はもちろん、東福岡のエースだった村田コーチら”松坂世代”の躍動を「羨望のまなざしで見つめていた」という。

「高校時代からの付き合いということもあり、現場はとにかく自然体でリラックスしたお二人の姿が印象的でした。数々の修羅場を一緒にくぐった戦友ならではの、阿吽の呼吸のようなものを強く感じました。仲睦まじく、というシーンはCM内にはありませんが、2人の絆の強さが感じられるような仕上がりになったと思っております。お二人とも、球界の先頭に立ってご活躍をされている野球人らしい、人格者という印象を受けました」

 松坂はキャンプ序盤にファンとの接触により右肩を負傷。2月中旬にキャンプを離脱したが、3月に入って投球を再開している。開幕は厳しい状況となっているが、早期のマウンド復帰が期待される。

「伊右衛門のCMに松坂投手、村田コーチと野球にまつわる方々が出演しているということに反響をいただいてます。松坂投手にはプレーする姿で、野球ファンのみならず、日本中に元気と勇気を与えていただけることを期待し、応援しております」

 平成の怪物として長く球界を引っ張った右腕の躍動は日本中にパワーを与える。松坂が出演するCMは3月いっぱいは全国でオンエアされる予定だ。(Full-Count編集部)

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