前橋中心街 27年ぶり上昇 県内公示地価 70地点で前年上回る

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商業地としての魅力を高めた前橋市本町

 国土交通省は19日、土地取引価格の指標となる公示地価(今年1月1日時点)を公表した。前橋市の中心市街地の商業地で27年ぶりにプラスの地点が現れ、高崎市で29地点が上昇するなど昨年より15地点多い70地点で前年を上回った。再開発の進展や好調な経済を背景に、駅や商業施設の近くなど利便性の高い地点で上昇した。一方、高齢化や過疎化が進む中山間地域は引き続きマイナスで、二極化の傾向が鮮明になった。全用途の平均変動率は前年と同じマイナス0.5%で、27年連続の下落だった。

 前橋の中心市街地では行政の活性化策や再開発の進展、オフィスの空室率の改善を背景に、国道50号沿いの本町で前年比1.2%上昇した。JR前橋駅や新前橋駅周辺の幹線道路沿いも昨年に続き好調だった。

 用途別の変動率は、工業地(11地点)がプラス0.1%と27年ぶりに上向いた。工業地の多くは横ばいだったが、輸送機器を中心に製造業が好調な太田市の二つの調査地点が上昇し、全体をけん引した。住宅地(263地点)は前年と同じマイナス0.6%、商業地(111地点)は0.2ポイント増のマイナス0.2%だった。太田は住宅地、商業地、工業地の全てがプラスだった。

 県内の1平方メートル当たりの平均価格は200円増の4万4300円だった。商業地で最も高かったのは高崎市八島町で44万5000円(11.3%増)。住宅地では同市真町で14万円(3.7%増)。いずれも再開発が進むJR高崎駅西口の近くだった。

 地価が上昇したのは前橋、高崎、伊勢崎、太田、みどりの5市の計70地点(住宅地43、商業地25、工業地2)。中山間地では住宅地の変動率が下仁田町でマイナス4.5%、長野原町でマイナス3.6%、嬬恋村でマイナス3.4%となった。

 公示地価調査の代表幹事で不動産鑑定士の津久井伸昭さんは「県平均では足踏みの状態。バブル期のように全体が底上げする状況にはなく、場所によって差がつく状況は続くのではないか」と指摘した。

◎にぎわい回復に期待…再開発進む前橋・本町

 国土交通省が19日発表した県内の公示地価(今年1月1日時点)は、前橋の中心市街地の商業地で27年ぶりにプラスの地点が出た。本県工業地の平均変動率も27年ぶりにプラスに転じ、太田市の工業地が全体を底上げした。住宅地では高崎市の平均変動率が上昇。開発が進む大型公共施設への期待が反映され、商業地の平均変動率も大幅に上昇した。

 前橋市の中心市街地の商業地では国道50号沿いの前橋市本町が27年ぶりに上昇した。1平方メートル当たりの価格は前年比1.2%増の16万4000円と市内最高だった。

 中心市街地では眼鏡チェーン「JINS」を展開するジンズの田中仁社長ら市内の企業経営者らが街づくりに参加し、再開発が加速している。旧ホテル白井屋はデザインホテルへの改修工事が進み、本町五差路沿いの旧前橋ビル跡地で複合ビルが建築中だ。

 本町に店舗を構える男性経営者は中心市街地を盛り上げようとする雰囲気を感じるとし、「地価上昇の実感はないが、今後にぎわいが戻るのでは」と期待する。前橋商工会議所の曽我孝之会頭は「官民一体の市街地再開発に向けてインパクトは大きい。前橋が元気になり、勢いが続いてほしい」と喜んだ。

 公示地価調査の幹事で不動産鑑定士の福田清隆さんによると、このエリアの主要オフィスビルの空室率は2015年に約30%だったが、調査時点では10%を切った。福田さんは「再開発が進めば地価はさらに上がるだろう」と見通した。

◎高崎・八島町2桁伸び続く

 ペデストリアンデッキで周辺の商業施設と結ばれたJR高崎駅。西口の目と鼻の先にある高崎市八島町の商業地は今年も県内最高額で、昨年に続き前年比上昇率が10%を超えた。2年連続2桁の伸びは、バブル景気の名残を受け1992年に館林市大手町の商業地で記録して以来という。

 2017年秋の高崎オーパ開業は、駅西口周辺の大型商業施設を刺激。高崎高島屋や高崎モントレーが大規模改装などでそれぞれの店舗の売り上げを伸ばし、経済が活発になったことが地価上昇に影響した。

 4月1日、オーパ近くの高崎市八島町内に美容に特化した鍼灸(しんきゅう)院を開業するオーナーの男性(37)は立地の誘客力に魅力を感じ、出店を決意した。「美容に関心のある顧客が多い場所。大いに競争ができる」と話す。

 駅西口から1キロ以上離れた同市柳川町の商業地も、横ばいだった前年から2.1%のプラスに転じた。同市の調査を担当した不動産鑑定士の石田寛さんは、「徐々にではあるが、駅前という“点”の上昇からの広がりを見せている」と分析する。

◎自動車の堅調を象徴…太田

 「工業が盛んになれば雇用が増え、住宅地と商業地の需要も伸びる」。太田市内で不動産業を営む70代の男性社長は声を弾ませる。

 平均変動率がプラスとなった工業地は、同市の西新町と高林北町。いずれも輸送機器部品製造業者が集積する工業地帯にあり、自動車産業の堅調ぶりが表れる結果となった。

 県が2月に発表した工業統計調査結果速報によると2017年の製造品出荷額は2年ぶりに増加。市町村別ではSUBARU(スバル、東京都)が国内唯一の自動車製造拠点を置く同市が2.3%増の2兆9088億円で県内トップだった。

 同市工業振興課は、市内に23の工業団地がありいずれも活発に機能していると指摘。造成中の「おおた渡良瀬産業団地」(同市吉沢、原宿町)をはじめ、市内への事業進出を視野に入れた問い合わせが増えているという。