社会課題に技術で貢献、「なくてはならない会社」へ――碓井稔セイコーエプソン社長

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セイコーエプソンの碓井稔社長は「サステナブル・ブランド国際会議2019東京」に登壇し、「経営理念の実践による持続可能型社会の実現」をテーマに講演した。顧客の期待や社会課題に向き合い、技術的なイノベーションで価値を生み出し「なくてはならない会社」を目指す同社のビジョンを紹介。特にプリンターなどの「インクジェット・イノベーション」とプロジェクターなどの「ビジュアル・イノベーション」の2つを強調した。(オルタナ編集部)

同社は、諏訪湖など自然豊かな環境のある長野県諏訪市で1942年に創業。もともとは機械式時計を生産・提供してきた老舗時計メーカーだ。「誠実と努力」という理念に基づき、安心で正確な時計を生産し続け、その功績から、1964年には東京オリンピックの公式計時を担当。国内外から信頼を置かれる企業へ成長を遂げた。

1960年後半からエプソンは、世界初のクオーツ時計や小型軽量プリンターを発表し、また90年代初頭には生産工程においてフロンを全廃するなど「創造と挑戦」を続けてきた。2000年代後半に業績が低迷するなかで、改めて顧客や社会と向き合いその期待に応える創業時の精神に立ち戻ったという。

「世の中の皆さんの期待や社会課題と向き合い、技術的なイノベーションで私たちにしかできない価値を創り出していく活動を続けている」(碓井社長)

同社は「省・小・精の技術」という独自の考え方に基づき、インクジェット、ビジュアル、ウエアラブル、ロボティクスの4つの技術革新を進めている。碓井社長は特にインクジェットとビジュアルの2つのイノベーションについて紹介した。

同社は、インクカートリッジなど消耗品で利益を上げるビジネスモデルと決別し、「エコタンク」という大容量インクでのプリンター製造を進めている。エネルギーなど印刷コストを大幅に削減するなど環境面に貢献し、レーザー方式を超える印刷スピードを実現しているという。一方、オフィスで使用した紙を原料にして、その場で新たな紙に再生する「PaperLab」を開発。オフィスのなかで資源を再生・循環させる発想のプリンターだ。

プロジェクターでは、より小さなディスプレイで大きな画面を映写する技術を推進。コミュニケーションのツールとして、「表示から空間演出へ」という技術革新を進めているという。

碓井社長は「(顧客や社会にとって)『なくてはならない会社』になるという志で新しい価値の創造に挑戦し、サステナブルな社会に貢献する」と述べた。