特集 あなたの一歩が命を救う 骨髄バンクドナーに登録を(3)

大阪府池田市 広報いけだ2019年3月号

©株式会社パブリカ

◆支えられた命、支えた命
命のバトンによって支えられた元患者さん、支えたドナー提供経験者さん、家族の発病を機に説明員として活動を始めた方。
当事者のみなさんそれぞれの思いを伺いました。

◇提供ドナーさんのことを思うと今でも心が震えます
移植を受けた元患者さん
NPO法人関西骨髄バンク推進協会理事 浅野祐子さん

3年間毎日ランニングを続けていたのに、だんだん走れなくなり、おかしいと思って血液検査をしたところ健康な人の半分以下の血液数値に。骨髄異形成症候群と診断されました。当時は薬はなく完治には移植しかないと言われました。10年前のドナー登録者は30万人で、型が一致したのは4人だけ。提供が決まるまではひたすら祈る日々でした。移植はいただいた骨髄液を点滴で入れるだけですが、その後、激しい免疫反応で高熱、かゆみ、全身の皮膚がただれ、入院は9カ月に及びました。数年はいろいろ症状が出て不安でしたが、もともとの体力に救われ、日常生活を取り戻しました。あの時、きっとあったであろうさまざまな問題を乗り越え、見ず知らずの私に提供してくださったドナーさんのことを思うと、今でも心が震えます。会って、私は元気ですと伝えたい。どうかお幸せでお元気でありますように。

◇この恩を社会にお返ししたい!強い感謝の気持ちが原動力に
移植を受けた元患者さん
骨髄バンクや若い患者さんの支援に携わる T・Gさん

バスケットボールに明け暮れていた17歳。ある日、階段が上れなくなり、血液の病気だと告げられました。貧血でだるい、息切れがひどい、出血すると血が止まらないなどの症状に苦しみながら、長年にわたり定期的な輸血で命をつないできましたが、2012年、完治を求めて骨髄移植を受けました。生き地獄のような術後の免疫反応をくぐり抜けた後、生まれ変わったように体が楽になってからは「この恩を社会にどうお返ししたらいいのか」という強い思いが湧いてきて、骨髄バンクや輸血の大切さを伝える活動、若い世代の患者さんを支える活動に奔走しています。ドナーさんとは移植後に手紙を交換。いただいた手紙に書かれていた、私のこれからの人生へのエールの言葉は何度読み返しても心に響き、深い感謝の思いとともにずっと大切にしています。

◇ごく普通の人間でも誰かの命を救うことができます
ドナーとして2回の提供を経験
骨髄バンクの説明員としても活動する N・Hさん

体が悪いのに誰かの役に立ちたいという方を追ったドキュメンタリーに感銘を受け、自分も何かしたいとドナーに登録。登録したからには提供したかったので、適合通知が来たときは即決断しました。看護師の姉は意外にもすぐには納得してくれず、母親も見ず知らずの他人のために手術を受けることに抵抗があったようですが、勤務先にはドナー休暇制度も上司の理解もあり助かりました。骨髄採取後、腰のあたりに重苦しさを感じましたが、全身麻酔なので痛みはなく、翌日には病棟内を歩いていました。腰に負担がかかる仕事ですが、退院後の経過も良好でした。骨髄バンクに対する正しい知識を持ち、ごく普通の人間でも誰かの命を救うことができることを、多くの人に知ってほしいと思っています。

◆まずは知ってもらうことから。若い人たちにこそ伝えたい骨髄バンクと献血の大切さ。
・NPO法人 関西骨髄バンク推進協会所属
・骨髄バンク説明員
・池田市公益活動促進協議会 届出団体
「届け!関西からいのちのバトン!」代表 赤木晴香さん

NPO法人関西骨髄バンク推進協会
【URL】http://kansaikyokai.or.jp/

◇知る、理解する、自分ごととして考える
大切な家族が突然、白血病になったことがきっかけで、骨髄バンクや献血の必要性を学びました。そして、身近な人の中にも骨髄バンクのことを知らない人が非常に多く、知らないがゆえの誤解もあること、同世代でも献血の経験がない人が多いことに気づきました。多くの人にきちんとした情報を知ってもらいたい。そんな思いから、骨髄バンクの説明員になり活動を始めました。
まずは知ること、理解すること、そして自分ごととして考えることが第一歩。健康に気づかい規則正しく暮らしていても、突然病気になることがあります。家族に輸血が必要になったり、骨髄バンクのお世話になることがあるかもしれません。小児がんの多くは白血病のお子さんです。今や2人に1人はなるといわれるがん治療にも、多くの輸血用血液が使われます。決して他人事ではないのです。そのことを道徳や保健の授業など教育の現場で、幼いうちから伝えていく必要があるとも感じています。

◇献血イベントでの周知活動も
説明員として献血ルームや献血バスに赴き、献血に来られた人に骨髄バンクの話をし、あわせて骨髄バンク登録もできることを説明するのですが、何度も献血をしている人でも骨髄バンクについては「知らなかった」という人が多くいらっしゃいます。
池田市献血推進協議会(事務局池田市社会福祉協議会)のご協力で、平成29年夏から献血とあわせて骨髄バンクのドナー登録会を実施していただけるようになり、池田ライオンズクラブが協賛する献血活動にご一緒させていただいています。厚生労働省の「はたちの献血キャンペーン」にからめて、池田市の成人式で骨髄バンクのチラシを配布し、若い方への告知にも取り組んでいます。
若年層のドナー登録の減少は若者の献血離れと連動しています。献血に来られる方の多くが50歳以上。一方で提供ドナーに関しては、若い方のほうが健康な方が多く、ドナーには適しています。若い人たちに、献血と骨髄バンクの両方を身近に感じてもらうことで、善意の輪が広がっていけばと思っています。また、骨髄バンクの説明員はバンクが設立された30年近く前から関わっている方が多く、高齢化が否めません。学生さんや献血協力企業・団体、地域のボランティアさんなどの中から骨髄バンクの説明員をしてくださる若い方も増えていけば良いなと思います。

◇全ての患者さんに生きるチャンスを
説明員としての活動は、まさに毎回が「命のつながり」「命のバトン」を感じる日々です。「父が血液の病気になり、輸血により延命ができて感謝しています」「提供を受けて、今、こうして生きています」などの声を聞きます。物質的な支援やお金の援助も大切ですが、見知らぬ誰かのために提供する骨髄バンクや献血も、本当に尊いものだと感じています。
たくさんの方に命をつなぐ「献血」と、命を救う「骨髄バンクドナー登録」にどうかご協力ください。骨髄バンクの登録のしおりは「チャンス」という名前です。全ての患者さんに生きる「チャンス」が届くようにと願っています。

今月号の「市民記者が行く!」でも骨髄バンクドナー登録と献血について紹介しています。