島から島へドローン物流 奈留島-前島で実証実験へ

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 11の有人島が点在する長崎県五島市で、島と島を小型無人機ドローンなどで結び物資を届ける無人物流事業が、実用化に向け動きだしている。五島市は27日、物資をドローンや自動航行船に載せ、二次離島の奈留島から前島に運ぶ実証実験を予定。2020年度には、五島市内の一部地域で無人機による輸送網を整備し、日用品や食料品の注文から配達までを可能にしたい考えだ。

 事業は五島市が新産業や雇用の創出を視野に、本年度から5年間で取り組む「ドローンi-Landプロジェクト」の一環。本年度の物流実験は、ドローン運航管理システムの開発などを手掛ける「かもめや」(高松市)に委託する。

 実験場所は奈留島南西部の港と、対岸にある前島の港との間で、直線距離は約500メートル。この間を垂直離着陸が可能な固定翼付きのドローンが飛び、300グラム以内の薬を前島に運ぶ。また、より重い食料品などの配達も想定し、自動航行船でコメなど約5キロの物資を運搬。さらに船が前島に届けた物資の一部を、自動走行する陸上カートに移し替えて個人宅まで配達する実験もする。

 これらの無人機の移動ルートは全て事前に設定しており、各機体は衛星利用測位システム(GPS)の位置情報を把握しながら自動で移動する。新年度は、福江島から二次離島の赤島や黄島に物資を無人輸送する実験も予定していて、今回の実験で課題を洗い出す。

 今後は、物資の注文や発送、料金精算など一連の無人物流システムを運営する組織の立ち上げが課題。ドローン専従の市地域おこし協力隊員で、同事業を進める濵本翔さん(37)は「地元だけでシステムの運営を担う体制を築きたい」として、地元商店やドローン関連企業、行政などが参画する協議会の設立を検討している。「暮らしやすさの向上が一番の目的。まだ時間はかかるが、二次離島にいても必要な物が何でも届く環境をつくり、人口増加にもつなげたい」と意気込む。

 同プロジェクトでは、物流以外でも▽海洋漂着ごみ調査▽農業▽洋上風車など再生可能エネルギー施設の点検-の各分野で、ドローン活用を目指す。漂着ごみ調査は本年度、データ処理を扱うIT関連会社「ディーソルHPI」(五島市)に委託。三井楽町の海岸を週5日程度、上空からドローンで撮影し、ごみの漂着状況を画像解析。効率的な処理に向けた検討を進めている。

実証実験で使用するドローン(五島市提供)
奈留島-前島間における無人物流実証実験の想定ルート