【レッドブルの開幕戦】ホーナー代表に聞くホンダの手応えと今後。「メルセデス時代は長すぎた。我々が追いつき追い越し、頂点に立つ」

 レッドブル・ホンダが3位表彰台を射止めた開幕戦。レース後、レッドブルのモータスポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコ博士が今後の戦いに関してもかなり楽観的な見通しを述べていたのに対し、クリスチアン・ホーナー代表は「メルセデスとフェラーリが手強いライバルであることに変わりはない」と、あくまで慎重だった。

 それでもウインターテストでは予定した開発メニューを完全に終えられず、苦戦を予想する声もあっただけに、開幕戦での3位入賞を素直に喜んでいた。

──開幕戦で3位表彰台を獲得したのマックス・フェルスタッペンの走りについてはどんな印象を持っていますか。

ホーナー代表:セバスチャン・ベッテルを抜き去り、その後はルイス・ハミルトンにプレッシャーをかけ続けた。結果的に抜くことはできなかったけれど、素晴らしいパフォーマンスだったね。

──まだ開幕戦を終えたばかりですが、タイトル争いに絡めそうですか?

ホーナー代表:あなたの言うように、今の段階でライバルたちとの力関係について何か言うのは時期尚早だ。とはいえメルセデスが現時点で最強なのはたしかで、フェラーリもこのまま終わるはずがない。しかし、われわれは非常にいいスタートを切れたし、トップとの差を着実に詰めていけると確信しているよ。

──ホンダは冬のテストから開幕戦にかけ、信頼性の点でも高い水準を維持していました。年間3基の使用規定は、問題なくクリアできると思いますか。

ホーナー代表:まったく不安を感じてないよ。何より評価したいのは、ホンダが性能と信頼性をしっかり両立させていることだ。パワーを上げていくと不具合が出るのが普通なのに、そんな兆候を全然見せていないからね。とはいえ、われわれが望むのはあくまで性能向上だ。もしアップデートの必要があってペナルティを受けるような状況が出てきたら、迷わずそちらを選択するつもりだ。たとえグリッド降格させられたとしても、それ以上の結果を出せるはずだからね。とにかくメルセデス時代は長く続きすぎた。レッドブル・ホンダの目標は、メルセデスとフェラーリに追いつき、追い越し、頂点に立つことだ。

──今季からタイトルを争うのは、可能だと考えている?

ホーナー代表:それについて言明するには、まだ早すぎる。ただ確実に言えるのは、レッドブル・ホンダのデビュー戦でいきなり開幕戦を射止めたのは素晴らしい成果であり、われわれは最高のスタートを切れたということだ。

■レッドブル代表がホンダに望む最優先事項。そして初優勝に向けて

ーヘルムート・マルコ博士は、「われわれは素晴らしいエンジンを得た。今後は車体開発に、よりいっそうの精力を注がないといけない」と言ってました。

ホーナー代表:同感だ。しかし、車体にしてもエンジンにしても『これでいい。これで十分だ』というところはない。そう思った瞬間に、ライバルたちの進化に取り残されてしまう。残り20戦のレースでも最高の結果を出すべく、予定されたアップデートを粛々と実行していくよ。

──ピエール・ガスリーのレッドブルデビュー戦についてはどのような印象ですか。

ホーナー代表:困難に見舞われた予選セッションのあと、レースでは非常に力強い走りを見せてくれた。ピエールのレース運びの上手さは定評があるし、結果的にポイントこそ取れなかったが、抜きにくいこのサーキットでは仕方がない。第2戦バーレーン以降、必ず盛り返してくれるはずだ。

──フェルスタッペンが最後に最速ラップを取れなかったのは、残念でした。

ホーナー代表:そうだね。でもボッタスのあのラップタイムを見せられては、どうしようもない。とはいえマックスがボッタスの闘争心に火をつけたわけで、おかげでレース終盤がさらに盛り上がったよね。

──あの時点で、レース戦略に変更を加えた?

ホーナー代表:いや、それはない。

──タイヤマネージメントは、フェラーリをはるかにしのいでいたように見えます。第2戦以降も、この傾向は続くと思いますか?

ホーナー代表:開幕戦で膨大なデータを得ることができたので、これを解析することでさらに多くのことが見えてくるだろう。この週末のフェラーリからは、たしかにウインターテストの速さが影を潜めていた。しかし、あれだけのチームが、このままズルズルと後退していくはずもない。

──今後さらにホンダへの注文があるとすれば?

ホーナー代表:より多くのパワーだね。

──まだ足りないということですか?

ホーナー代表:もちろん、彼らはこの冬、大きなステップアップを果たしてくれた。しかし、エンジンパワーはあり過ぎて持て余すことはないからね。

──フェルスタッペンがベッテルを抜いた瞬間は、どんな気持ちでした?

ホーナー代表:もちろん最高の気分だったよ。戦略の違いやタイヤの状態の違いはあったとはいえ、この抜きにくいサーキットで、あれだけの圧倒的なオーバーテイクを見せてくれたんだからね。

──レッドブル・ホンダの初勝利は、いつになるでしょう?

ホーナー代表:さて、いつだろうね。楽しみに、待とうじゃないか。

開幕戦で3位表彰台を獲得して喜ぶホーナー代表とホンダの山本雅史モータースポーツ部部長

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