2019年からWTCR世界ツーリングカー・カップへの挑戦を開始するスウェーデンの新興チーム、PWRレーシングが世界戦に挑むドライバーラインアップを発表し、主戦場STCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権でもリードドライバーを務めたPWR共同代表のダニエル・ハグロフのチームメイトに、2018年TCRヨーロッパ・シリーズでセアト・クプラTCRをドライブし王者に輝いたミケル・アズコナを起用するとアナウンスした。
それまでの年1特別戦ではなく、欧州選手権的なチャンピオンシップシリーズへと生まれ変わったTCRヨーロッパに参戦した22歳のアズコナは、一貫して高い競争力と安定性を見せ優勝を含む5度の表彰台を記録。並み居る強豪を抑えてシリーズチャンピオンの栄冠を手にした。
「成功を収めて喜んではいたけれど、こうしてPWRやクプラ・レーシングとともにWTCRにチャレンジできるなんて思いもよらなかった。本当に光栄だよ」と喜びを語ったスペイン出身のアズコナ。
「何もかもが大いなる挑戦で、最高にエキサイティングなシーズンになりそうだ。このコンペティティブでタフな世界選手権のフィールドを前に、ハードワークを続けて彼らに挑めることを楽しみにしている。そして何より、ドライバーとしての僕を信じてくれたPWRとクプラ・レーシングに感謝を捧げたい」
そしてアズコナのチームメイトとなる40歳のハグロフは、2018年のSTCCでもセアト・クプラTCRのステアリングを握り、最終戦までタイトル争いを展開。WTCC世界ツーリングカー選手権にも参戦し、2017年のSTCC王者でもあるロバート・ダールグレンと、WorldRX世界ラリークロス選手権連覇のヨハン・クリストファーソンを相手に、惜しくもランキング3位に終わっている。
自らのチームを率いての世界戦昇格を前にしたハグロフは「再びこうして国際的な舞台で勝負できるのは本当に光栄だし、楽しみだよ。このツーリングカーのカテゴリーで最高峰のドライバーたちを相手に、どんなドライビングができるか。進化のきっかけにもしたいね」と気込みを語る。
「僕とポーカー(ピーター・ウォーレンバーグ/PWR共同創設者)が一緒に興したチームが、いよいよ世界選手権にチャレンジできるところまで来たのは感慨深いし、とても大きな成果だ。今年チームメイトになるミケル(アズコナ)は将来有望なドライバーで、PWRの目指す若い才能の育成というポリシーにも完璧にフィットしている。今年のチャンピオンシップで素晴らしいショーを披露し、良いリザルトを得ることができると思うよ」
2018年までWTCRに参戦したカンポス・レーシングとゼングー・モータースポーツに代わり、PWRとComtoyou Racingが新たにセアト陣営のカスタマーチームとして4台のマシンを走らせることになるが、クプラ・レーシング代表のジェイミー・プイグは「彼らがブランドを代表してシリーズを戦ってくれるのは素晴らしいことだ」と抱負を述べた。
「ミケルは2018年に“将来有望”という言葉を卒業するレベルの実績を残した」と、欧州チャンピオンを評するプイグ。
「彼がTCRヨーロッパ・シリーズを制し、自身のキャリア初のタイトルを勝ち獲ったという事実は、彼のパフォーマンスの高さと個性、そしてドライビングスキルが世界レベルにあることを証明している。彼の若さは資産であり、武器にもなる。ダニエル・ハグロフのような経験豊富なドライバーと組むのはとても良い決断だったと思うし、ミケル、ダニエル、そしてPWRレーシングが今季のWTCRで旋風を巻き起こすことを期待している」
このハグロフとアズコナのアナウンスにより、2019年シーズンのWTCR参戦ドライバー全26台の顔ぶれが出揃うことになり、同時にカンポス、ゼングー、そしてDGスポーツ・コンペティションがシリーズを去ることが確定し、プジョースポールはWTCRでの308TCRのサポートを停止する形となっている。