新銀行の名

 「おしどり夫婦」と言うように、その鳥は夫婦円満の例えに用いられ、長崎の県民鳥でもある。オシドリ2羽が寄り添う姿を、新しい銀行のシンボルマークは表すらしい▲ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)は、十八銀行と、FFG傘下の親和銀行とが合併して生まれる新銀行の名を「十八親和銀行」と発表した。マークは十八、親和の頭文字「J」「S」を並べた形をしている▲二つの銀行とも創業から140年を超えている。名称には30、40もの案があったというが、慣れ親しまれる今の名が残された。新しい名を縮めて、通称は「じゅうしん」?-と、つい気の早いことを考える▲計画では来年10月に新銀行が誕生する。元の2行の名がつながるのを見て、しのぎを削ってきたライバル同士がもうじき一つになるのかと、実感の湧く人も多いだろう▲新銀行のマークは薄紅紫色で、県の花ウンゼンツツジの色を用いた。2行の名は残して、マークやカラーは一新する。名残惜しさと新鮮さと、共にあるだろう県民の心持ちと、どこか重なるようでもある▲「鴛鴦(えんおう)」とはオシドリで「鴛鴦の契り」は仲むつまじい夫妻の絆を言う。何よりも長崎経済の未来のための“契り”だが、銀行内の融和の誓いも表すのだろうかと、温かな色をした「JS」マークを見て思う。(徹)

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