マルチ、好捕…開幕1軍手繰り寄せたロッテ藤原 躍動の陰にあった過去の反省

ロッテ・藤原恭大【写真:安藤かなみ】

前日の2三振、約1週間前に起こした守備のミス…すべてを糧に成長

■ロッテ 3-0 阪神(オープン戦・21日・ZOZOマリン)

 ロッテのドラフト1位ルーキー・藤原恭大外野手が21日、「1番・中堅」でスタメン出場。初回に先制の起点となる右翼二塁打を放つと、続く2回にも中前安打を放ち、オープン戦自身初となるマルチ安打を記録した。

 祝日の阪神戦ということもあって、来場者1万8038人が詰めかけたZOZOマリンスタジアムで両チームのファンともに注目するゴールデンルーキーが躍動した。

 13日のヤクルト戦以来、7試合ぶりに1番打者として打席に入った藤原。カウント1ボール2ストライクと追い込まれてからの4球目。阪神先発・馬場皐輔投手が投じた真ん中付近133キロのスプリットをとらえ、右翼二塁打を放ったが、これには前日の打席が大きく影響を及ぼしていた。

「前日に変化球で三振に取られていたので、まっすぐと変化球をしっかり頭に入れて打ちました。結果論ではありますが、前日の三振が生きたのだと思います」

 前日の2三振はいずれも追い込まれてからの変化球にバットが空を切っていた。この日は「2球目まではまっすぐをしっかり待とうという意識で。(その後は)厳しい球はカットしてというイメージで」打席に入り、初回にチームの先制点を呼び込んだ藤原。続く2回の第2打席も変化球をとらえて中前打を放ち、オープン戦では初、練習試合を含めれば、2月14日のラミゴ戦(3安打)以来のマルチ安打を放ったほか、第3打席では四球を選び出塁し、盗塁も決めて見せた。

井口監督は開幕スタメン示唆も本人は「まだ決まったわけじゃないので」

「阪神戦で観客が多い中での雰囲気を体験してほしい」という井口監督の思いで久々のスタメン出場となったが、藤原自身は「まさか(スタメンで)出るとは思っていなかったので『最後のチャンスだな』と、そういう気持ちでやりました。他の外野手の方々が打っていたので、焦る気持ちもありました」と、「残りたい」と強い思いを持つ1軍残留へ、必死の思いが好結果を生んだ。

「変化球を打ったというのは、すごく自分の自身になります。(盗塁も)1回失敗したので決めてやろうという気持ちでいきました。やはり『走攻守』でアピールしたい気持ちが強いので、そこをしっかり見せていければいいなと思います」

 この日は、10メートルを超える強風の中での試合だったが、3回にはライナー性の打球が、特有の風で伸びてくるところを、背走しながらジャンピングキャッチする好プレーも見せた。13日のヤクルト戦では上空の風で目測を誤り、守備でミスを犯していた。「打球の種類は違いますが、(強風下のライナーを)経験出来たことは良かった」と今回はマリンの風にも負けず、守備での安定感を見せた。一歩ずつ、着実に段階が上がっている。

 井口監督は「このままアピールを続けてくれれば、開幕スタメンもある」と、ゴールデンルーキーの開幕戦登場も示唆していたが「まだ決まったわけではないですし、まだ試合もあります。自分のできることを変わらず100%やっていきたいと思います」と、これまでと変わらぬ姿勢で、残り2試合のオープン戦でアピールを続けていく。(岩国誠 / Makoto Iwakuni)

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