<社説>県内地価高騰 投機の過熱化へ目配りを

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 県内の地価高騰が改めて浮き彫りになった。 国交省が発表した2019年の公示地価で、県内の全用途平均は前年比プラス9.3%で、全国平均のプラス1.2%を大きく上回り、上昇率は3年連続で全国最高となった。

 沖縄海洋博覧会の開催期待に沸いた1970年代中盤、バブル景気で土地投資が沸騰した80年代後半から90年代初頭をも上回る水準だ。

 地価の上昇は、人口増と観光を中心とした好調な県経済を反映しているといえる。一方で、地価の上昇分を回収するため賃料や分譲価格が上がり、企業の収益を圧迫し、住宅の入手が困難になるといった弊害が出始めている。

 不動産投機が過熱してバブル状態を招かないよう、国や県は安定した土地利用に向けた計画づくりや広域的な調整機能を政策として行うべきだ。

 地価が上昇している地域の要因は大きく二つに分かれる。ホテルの建設ラッシュとなっている那覇市を中心とした観光需要と、道路建設やモノレール延伸、区画整理事業といったインフラ整備による利便性の高まりだ。

 商業地の価格は10.3%の上昇となり、調査開始以来初めて2桁の上昇率となった。那覇では海外観光客の増加や県外資本企業の進出を背景に新規ホテル、事業所・店舗の需要が旺盛だ。那覇の地価上昇に伴った浦添や宜野湾など近隣でも軒並み地価の上昇幅が拡大している。

 インフラ整備による地価上昇の典型例は北中城村の住宅地のプラス13.0%だ。米軍施設だった同地域は返還と土地区画整理事業を経て住環境の整備が進んだ。大型商業施設の開業効果もあり、分譲マンションの取引も活発化した。モノレールの浦添延伸地域も区画整理事業による宅地開発への期待も大きく、空港直結の利便性からホテル等の進出も検討されている。

 地価上昇は沖縄経済への期待感の表れだ。今夏のモノレールの延伸開業、20年の那覇空港第2滑走路運用開始など今後も観光客の増加や沿線開発には大きな需要があるとみなされている。

 しかしながら地価上昇が企業経営を圧迫し、県民の住宅取得を難しくしているとなれば問題だ。県内の平均賃金の伸びは5年で1%余りなのに、住宅地は14年から20%超上昇していて、賃金増と地価上昇のペースは既に乖離(かいり)している。

 長期的に見て、地元住民や地元資本の企業が市街地から郊外へ押し出されるといった社会変動につながる影響も想定される。また急騰した地価が一気に下落に転じると、金融や経済に大きな打撃を与える。

 バブル崩壊の再来とならないよう、国や県は投機マネーの動向を監視し、県全体の土地利用に目配りをすべきであろう。