フランスのスタイリッシュな5ドアクーペが417万円~! 新型プジョー 508発表会レポート

プジョー 新型508発表会 左:プジョーブランドCEO ジャン=フィリップ・アンパラト氏

流麗なフラッグシップ5ドアクーペ“508”が日本上陸

2019年3月20日より、プジョーのフラッグシップ5ドアクーペである「508」の新型モデルが日本で発売された。これを記念し、プジョーブランドのCEOであるジャン=フィリップ・アンパラト氏を招いての発表会が行われたので、その様子をレポートする。

キーワードに“大胆不敵”を掲げるプジョーの意欲作

プジョー 新型508発表会
プジョー 新型508発表会

今回発表された新型508は、一見すると4ドアセダンのように見えるが、実は5ドアハッチバッククーペ。同社では“ファストバッククーペ”という名称を用いている。

ボディサイズは全長4750mm×全幅1860mm×全高1420mm。国産車で言えばその全長はトヨタ カムリやマツダ アテンザより短い。実際に間近で見ると“長くて流麗”というよりむしろ“コンパクトで軽快”という印象を強く受けた。しかし、妙な寸詰まり感は微塵も感じさせず、ファストバッククーペとして、非常に優れたバランスを保っているのが印象的だった。

また全高の低さも印象的だったが、これはまさに、ルーフを低くすることを目的に採用されたフレームレスドアの恩恵といえる。

ボディカラー別で見ると、発表会の会場となったホールに展示されていたアルティメット・レッドのボディーも良かった。が、個人的には屋外に展示されていたダーク・ブルーが良い。微妙に紫っぽさを帯びており、他のどの色にも似ていない雰囲気を放っている。

フラッグシップとはいえボディカラーを幅広く設けており、しかもどれも派手過ぎたり、子供っぽかったりしないのはさすがだ。

フラッグシップに敢えてハッチバックを採用した意図とは

プジョー 新型508発表会

なおフラッグシップモデルというと、多くのブランドにおいてはコンベンショナルな4ドアセダンがその立ち位置を担い、ハッチバックが選ばれるケースは珍しい。

今回、敢えてハッチバックを採用した意図として、プジョー・シトロエン・ジャポン マーケティング部の上村 学氏がコメントした。

曰く、現在世界的にプジョーブランドで販売が好調なのは2008や3008、5008といったSUVモデルだが、よりブランドの象徴として、そして走る楽しさやスポーティさをダイレクトに発信するフラッグシップ“サルーン”の必要性を感じたという。

この点において、従来型の3ボックスセダン以上に革新的でアクティブなイメージの強いファストバッククーペを選び、プジョーブランドとしての“新しいフラッグシップ像”を打ち出す意図があったとのことだ。

もちろん鮮烈なイメージだけではなく、実際に多くの荷物を積みやすいという、実用面も強く意識しての判断だという。

実は競争の激しい5ドアクーペ市場、意外にも価格面でアドバンテージを発揮か

また今回プジョーが新モデルを投入した5ドアクーペ市場、かつてはごく少数のモデルのみが投入されていたが、今では意外に競争の激しい市場となっている。

代表的なモデルはアウディ A5スポーツバックやフォルクスワーゲン アルテオン、BMW 4シリーズグランクーペだが、上記のモデルのベースグレードの価格はそれぞれ546万円、549万円、601万円。

一方、今回発表された新型508はベースグレードの508アリュール(1.6リッター ガソリンエンジン)が417万円、最上級の508GT(2リッター ディーゼルエンジン)でも492万円というプライスを掲げている。

この流麗なスタイルに加え、全グレードにアクティブクルーズコントロールやレーンポジショニングアシストという先進安全装備が装備されていると思うと、なかなかに気になる選択肢となるのではないだろうか。

508から始まるプジョーの今後の戦略

夏頃をめどにステーションワゴンが上陸予定

プジョー 新型508発表会

発表会では、プジョーブランドのCEOであるジャン=フィリップ・アンパラト氏より今後の戦略も発表された。

508に関してはまず、2019年夏頃を目処にSW(ステーションワゴン)が導入される予定だという。発表会の動画に登場したステーションワゴンスタイルは、シンプルな造形の中にスポーティな雰囲気がにじみ出ており、今回のハッチバックモデルと比べても、どちらを選ぶか非常に悩ましい印象を受けた。

昨今ではスポーティーさを演出するためにDピラーを寝かせてクーペ風に見せるステーションワゴンも多いが、508SWの場合は立ちすぎても寝すぎてもおらず、“正統派スポーツワゴン”という響きがシックリくる印象だった。

こちらは正式発表後に、追って詳細をお届けしたい。

EVモードで50km走行可能なPHVが登場予定

また具体的な時期は明言されなかったものの、追って508のPHV仕様が登場するという。

50kmの距離をEVモードで走行可能な性能を目指して開発されており、将来的なプジョーの完全EVラインナップへの布石としての意味を持つという。もちろんモーターアシストによるさらにパワフルな加速も可能で、その点にも是非注目してほしいとのことだった。

日本市場でもさらなる攻勢へ! 今後のプジョーに期待大

プジョー 新型508発表会

かつてプジョーと言えば3/5ドアハッチバックのコンパクトなモデルの印象が強かったが、ここ最近では日本市場においてもSUVの売れ行きが好調だという。

そんな中で投入された今回の新型508には、敢えて個性的でかつ競争の激しいセグメントにニューモデルを投入するプジョーの気概のようなものを感じた。

さらなるラインナップ拡充を控えるプジョーの今後に要注目だ!

[執筆・撮影:チダ ユウタ(オートックワン編集部)]

プジョー 新型508 主要スペック

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