知事選、福井の若者が描く未来は

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福井県知事選に立候補した3氏のポスター=福井県福井市内

 しがらみを気にせず、率直に語る若者だからこそ、描ける未来がある。その言葉には力がある。新幹線、原発、リーダー像…。知事選が告示された福井県内の10~30代の男女に、平成の次を担う福井のトップに託す思いを聞いた。

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 春から看護師として働く越前市の22歳。生まれてからずっと福井県で暮らしてきたが、政治にはあまり関心ないという。「トップの具体的な政策が分からないし、言葉を直接聞く機会もない」からだ。「県民の意見を取り入れて納得できる政策を考えてほしい。有言実行するリーダーが良い」と話す。

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 福井高専に通う、あわら市の18歳男性は、「自分たち若者の意見をしっかり取り入れてくれる人」が理想。「候補者がこれから福井をどんなふうにしてくれるのか見極めて投票したい」と話した。

 福井市内で不登校の子どもたちのためのフリースクールを運営する男性(29)は「現場の力を伸ばすリーダーが求められるのでは。いろいろな活動がボトムアップで展開していく環境をつくって」と願う。

 鯖江市の団体職員(26)は「カリスマより、たくさんのリーダーを育てられる人がふさわしい。若い世代にもチャンスを与えてほしい」と求める。

 仁愛大2年の20歳女性は、わずか1票で社会が変わるのかという疑問から、これまで投票したことはなかった。「大学を卒業してからも福井にいたい。女性が働きやすい社会を目指している人にリーダーになってもらいたい」。少しずつ大きくなってきた「自分の意思を投じたい」という気持ちを今回は行動に移すつもりだ。

 2023年春に福井県敦賀市まで延伸する北陸新幹線は、観光など県内経済の起爆剤になるとの期待は大きい。南越駅(仮称)周辺のまちづくり計画を決める越前市の策定委員会に加わっている仁愛大2年の20歳女性は「自分は都会より田舎派。観光客が増えすぎて福井の自然や文化が損なわれるのは困る。豊かな緑の中にある新幹線駅が理想」と話す。新幹線が延伸しても「駅につながるバスや電車が充実しないと県民には不便では」と、2次交通の重要性を指摘した。

 延伸を「すごくポジティブにとらえている」と話す県立大大学院1年の男性(24)は「もっと恐竜ブランドを生かして、観光客を取り込んでほしい。福井駅近くに、もう一つの恐竜博物館をつくり、観光客が気軽に化石と触れ合えるようになれば」と提案した。

 「活性化への期待より、焦りの気持ちが大きい」と話すのは敦賀市のバーで働く21歳男性。「訪れる人が増えても、受け入れる準備ができていないといけない。でも今の敦賀駅前は閑散としている。飲食店などの商売をしたい人を支援する制度があればいいと思う」

 一方、福井市の男性(29)は「延伸はあまり好ましく思っていない」と話し「高齢化が進み、車を運転できなくなる人が増える世の中で、新幹線より地域の交通インフラを充実させることこそ大切」と主張した。

 福井県の嶺南地域に集中する原発。敦賀市のバーで働く21歳は「原発があることで雇用が増えるし、新増設や建て替え(リプレース)には賛成。ただ、安全対策が徹底されていることが前提」と話す。

 小浜市は、一部が原発からおおむね半径5キロ以内の予防防護措置区域(PAZ)に入る。ただ、同市の会社員女性(31)は「特別意識してはいない」。原発に携わって働いている人が多いため、廃炉完了後の雇用確保が肝心だと考えている。

 大野市の34歳女性は「大野は原発から遠く、現実の問題として考えられないが、地域に雇用を生み出しており、地域にとってプラスの面はあると思う。ただ、事故が起きた場合を考えると、子どもを持つ親として怖さもある」と語った。

 「福井県の財政や働き手のことを考えると原発はあった方が良いかな」と話すのは越前市の22歳。地元は原子力災害時に避難指示が出る可能性がある。「東日本大震災の被害を見てリスクを知った。災害時にしっかり対応できる態勢を整えてほしい」と注文した。

 県立大大学院生(24)は「(再稼働について)賛成、反対とは言えないが、嶺南だけでなく嶺北の人ももっと真剣に考えるべきだ。人ごとにしないで、学生が中心になってもっと議論していかないといけない」と話した。

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 彼らが描く未来は、現実離れしているかもしれない。だけど、本当にそうだろうか。「既成概念にとらわれないで」と訴える若者たちの声に耳を傾け、一度立ち止まって福井を考え直せるのも選挙だ。