第55回温故知新~うと学だより~

熊本県宇土市 広報うと平成31年3月号

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■中園邸(なかぞのてい)

昨年の『広報うと』8月号では、「宇土の武家屋敷」と題して、門内町にある県内最古の武家屋敷「旧高月邸」を紹介しました。
今回は、上網田町にある宇土市指定文化財(建造物)の中園邸を紹介します。
中園邸は、江戸時代に宇土郡郡浦(こおのうら)手永(てなが)(※)の御山支配役(みやましはいやく)を務めていた中園家の屋敷です。御山支配役とは、藩が所有する山林の管理や植林などを担当する地方の役人です。中園家に残された古文書のなかに江戸時代の絵図があり、それによれば中園邸は天保3年(1832)、6代目当主・中園英之助の時代に建てられたことが判明します。今から187年前のことです。
建物の構造は、木造瓦葺の2階建で、建築面積は約220平方メートル、1階と2階を合わせた床面積は約270平方メートルです。現在、屋根はすべて瓦葺(かわらぶき)になっていますが、江戸時代の建築当時は、母屋部分が茅葺(かやぶき)、下屋(げや)部分が瓦葺だったようです。
1階部分は、裕福な農家などにみられる6間取型で、東側に土間と物置部屋があり、西側に6つの部屋が配置されています。6部屋のうち、最も格式の高い部屋は、奥にある10畳の座敷で、床(とこ)・棚・付書院(つけしょいん)を備え、南から西にL字型の縁(えん)も設けられ、池のある庭に面しています。この座敷の隣に次の間あり、次の間の南には客用の表玄関が設けられていました。
このように中園邸の座敷と次の間は接客のための公的な部屋で、茶の間と台所、そして北側の2部屋が家族が普段使用する私的な部屋でした。北側の2部屋のうち、奥の床の間が中園家の主人の居間でした。
中園邸の部屋の配置をみると、来客や接客を中心に考えられた間取りになっています。中園邸は中園家個人の屋敷ではありますが、一方で地域の公的な施設でもあったということです。これは当時の中園家の役職や仕事と関係するもので、江戸時代に村の役所を兼ねていた一般的な庄屋住宅と共通しています。仕事柄、多くの役人や地域の人々が中園邸に出入りしていたことが想像されます。
平成28年熊本地震で建物が傾くなどの被害を受け、長い間、立入ができませんでしたが、平成31年4月からの再開に向けて、現在復旧工事に取り組んでいるところです。

※手永とは、江戸時代の熊本藩独自の行政区画で、数ヶ村あるいは数十ヶ村を一つの単位とします。

◆4月13日(土)から中園邸の一般公開を再開します!
所在地:上網田町787番地1
開館日:土曜日・日曜日・祝日
開館時間:午前9時〜午後4時30分(入館は午後4時まで)
入館料:
・高校生以上 200円
・小・中学生 100円
4月13日(土)のみ入館無料となります。

◆4月6日(土)から旧高月邸を無料公開します!
所在地:門内町47
開館日:土曜日・日曜日・祝日
開館時間:午前9時〜午後4時
入館料:無料
その他:平日に見学を希望される方は事前に文化課まで御連絡ください。

■「うと学資料室」利用相談と講話の御案内
毎月第2、第4火曜日(祝日の場合休室)は、宇土歴史懇話会会長の辻誠也さんが郷土史や古文書に関する質問に対応します。また、14時から15分間程度、本市の歴史や文化財に関するミニ講話があります。どなたでもお気軽にお越しください。
相談時間:午後1時~5時
場所:文化課内「うと学資料室」