長崎県議選立候補予定 女性8人 遠い男女均等 家事の両立、セクハラ… 依然ハードル高く

 「政治分野の男女共同参画推進法」が昨年5月に成立して初めてとなる今春の統一地方選。同法は男女の候補者数をできるだけ均等にするよう各党に促しているが、第1ラウンドとなる県議選の立候補予定者(22日現在)を見ると全62人のうち、女性は8人にとどまっている。家事・育児との両立やセクハラなど女性の参画を阻むハードルは依然、横たわっているようだ。

 「女性が当選しようと思うならもうちょっと色気がないと駄目」「お酒の席ではおしゃくをしてまわらないと」-。一時、今春の県議選への出馬準備を進めていた女性(36)は、男性支援者からそんな言葉を投げかけられた。

 看板も知らぬ間にピンク色で発注されていた。未婚で子どももいないが、「目玉政策は女性なら子育てや介護にしないと」と支援者から強く勧められた。性別だけに重きを置いた“女性候補”キャラに自らを重ね合わせていくことに違和感を覚えたという。

 結局、女性は体調不良で出馬を断念したが、今あらためて思う。「女性県議という言葉も『政治は男のもの』という意識から出ているのではないか。政治の世界を志したのはそういったことも変えたかったから」

 政治分野の男女共同参画推進法は女性の政界進出を後押しすることが狙いだが、罰則はない。立憲民主、国民民主などが女性候補者擁立の数値目標を掲げている半面、自民、公明などは設けていない。一方、新人の女性に支援金を支給して後押しする党もあるなど、取り組みは政党によってまちまちだ。

 県議選は前回、全60人の立候補者に対し、女性は5人。今回はやや増えそうだが、それでも全体に占める割合は低く、自民党県連は「手を上げる女性が地方では少ない」と説明する。

 全国の女性地方議員を対象にした2017年の内閣府調査によると、女性候補が少ない理由として「議員活動と家庭生活との両立が難しい」との回答が78.6%に上った。「嫌がらせやセクハラを受ける」などの声も寄せられた。

 女性の政治参画を巡る課題について、本県の女性県議の1人は自身を振り返り、「子どもが小学生と園児だったので夜に政治活動はしなかった」。別の女性県議は「朝のつじ立ちも女性は掃除や洗濯でできない人もいる。候補者の活動を評価する有権者の意識も変わってほしい」と訴える。

 女性と政治の関係に詳しい東京女子大の大山七穂教授は「各政党が立候補をしにくいハードルを取り除く支援が必要」と指摘。女性向けの政治スクールや金銭的支援を一部の政党が実施してきたとして「より多くの政党がこういった支援をすべきだ。地方自治体も政治に興味を持ったり選挙について学んだりする学習会を開いてほしい」と話す。

長崎県議選の立候補予定状況

© 株式会社長崎新聞社