高良健吾が「二つの祖国」でアイデンティティーに苦しむ役柄を通じて伝えたいこと

高良健吾が「二つの祖国」でアイデンティティーに苦しむ役柄を通じて伝えたいこと

3月23・24日の2夜連続で放送される、開局55周年特別企画ドラマスペシャル 山崎豊子原作「二つの祖国」(テレビ東京系)。「白い巨塔」「華麗なる一族」など数々の名作を生み出してきた山崎豊子さんのベストセラー小説を豪華キャストでドラマ化。1900年代、第2次世界大戦前・中・後の日本とアメリカ、二つの国の狭間で家族の絆を引き裂かれ、涙の別れを経ながらも未来を信じ、激動の時代をたくましく生き抜いた3世代64年の愛の物語を壮大なスケールで描きます。

日系2世としてアメリカで育つものの、日本とアメリカの開戦時に日本の大学に通っていたことから、日本軍に徴兵されてしまう天羽(あもう) 家の次男・忠を演じるのは高良健吾さん。アメリカ市民として生きていながらも日本軍の真珠湾攻撃により、アメリカで「敵性外国人」として差別される兄・賢治(小栗旬)や三男の勇(新田真剣佑)らと共に二つの祖国の間で苦悩する役柄です。今回、高良さんに今作の撮影現場のエピソードやこの作品の魅力など、お話を伺ってきました。

──今作のお話を聞いた時のお気持ちや、台本を読んだ時の印象を教えてください。

「今作のように戦争を題材にしている作品というのは、本当に必要なものだと思うんです。戦争を実際に経験された方というのは、これからどんどんいなくなっていって、もうすでに少なくなっています。でも、その戦争の悲惨さや繰り返してはいけないことを伝えていくのは今生きている人たち。だからこそ、このような作品はすごく必要なものだと思っていました。そして、このオファーを受けてから台本を読んだ時、素晴らしい話だと思いました」

──高良さんが演じる天羽忠という役は、第2次世界大戦によって人生や考え方を大きく変えられてしまう役ですね。

「まず忠だけじゃなく、たぶんあの時代に生きた人たちはみんな、いろんなものを失い、翻弄(ほんろう)された人たちだと思っています。忠という役は、第2次世界大戦前、戦時中、戦後を演じるのでそこの変化はしっかりつけたいと思って演じました。タカハタ秀太監督の特徴としては、テストをやらずいきなり本番ということもあって。その緊張感や楽しさがありました」

──兄の賢治を演じる小栗旬さんとは映画「キツツキと雨」や舞台「時計じかけのオレンジ」など、これまでも何度か共演されていますが、今作では兄弟役との共演ということで、どんなお話をされましたか?

「自分たちがこの作品で伝えなければいけないことや、賢治と忠の関係性についてのお話をしました。小栗旬さんはどんなことをしても、受けとめてくれて。あそこまで器の大きい人はあまり会ったことがないですね。一緒にいて、緊張もしますし、だけど楽もさせてくれるし。刺激的な方ですね」

──今作は、二つの祖国の間で苦悩する「アイデンティティー」が、一つのテーマですが、高良さんはご自身のアイデンティティーについて苦悩されたことはありますか?

「この仕事でいろんな役をやると『自分ってなんだろう』と思うんです。役や現場によって、他人になることで自分がYESと思ったことをNOと言わなければならない、その逆もある。そういう仕事だと思うんですよね。どの職業も大変なのは分かっていますし、比べてとかではなくて、(この仕事は)自分の内面を見つめるからいろんなことに気付いてしまうと思うんですね。ふと過去の自分を思い出す瞬間に自分というものが分からなくなる瞬間があります。そういうところで難しくなることはあります。でもそれは、そういう仕事を自分で選びましたから」

──今作のように、自分のアイデンティティーについて悩む若い人たちは多いと思うのですが、その悩みはどのように解決していけばいいのでしょうか?

「『自分ってなんだろう?』という考えになっている時点で正しい、と僕は思います。きっとそこで苦しんだり悩んだりすると思うんですけど、自分が立っているその場所にいることが難しいことだから、それを考えている時点で『大丈夫』と思うんです。きっと難しく考えたくなるし、考える必要もあるけど、そこで見つからなくてもいいと思います。ただ卑屈(になること)は何もないと思います」

──若いうちはグレたり、卑屈になりたがりますよね。

「それも、やりたいようにやったらいいと思います。でも、卑屈になっても何もないから。そういうことも実感すればいい。全部が経験だと思います」

──役者として自分の内面に何度も向き合ってきた高良さんが、そういったことをおっしゃっていただくことで励まされる方は多いと思います。最後に、あらためてこの作品の魅力を教えてください。

「自分が生まれ育った国だったり、自分の中に流れている血だったり、そのルーツに苦しめられた人たちのお話です。そういった人たちが戦争に巻き込まれながら生きる姿を見て、もう一度考えることができるのがこのドラマの魅力かなと思います。やっぱり、楽には考えられるドラマではないと思います。だけど、こういうふうに心が傷つきながら考えるドラマは絶対必要だと思います。最初に言ったように、戦争を体験された方々がいなくなっていくから自分たちが伝えなければならないという意味で、戦争というものをもう一度考えていくきっかけになるドラマになれば、それはありがたいことだなと思います」

一つ一つの質問に真っすぐ誠実に答えてくださった高良さん。多くの有名映画監督から引っ張りだこの実力派人気俳優であるにもかかわらず、インタビュー後にも気さくに笑顔で話してくださって、その飾らない姿がとてもすてきでした。高良さんたちがこの作品で伝える意味を考えて撮影に臨んだSPドラマ「二つの祖国」、ぜひお見逃しなく!

【プロフィール】


高良健吾(こうら けんご)
1987年11月12日生まれ。熊本県出身。NHK連続テレビ小説「おひさま」「べっぴんさん」NHK大河ドラマ「花燃ゆ」、「いつかこの恋を思い出して泣いてしまう」(フジテレビ系)、「バイバイ、ブラックバード」(WOWOW)、映画「ふきげんな過去」「シン・ゴジラ」「彼女の人生は間違いじゃない」「月と雷」「万引き家族」など出演作多数。2019年は主演作「多十郎殉愛記」(4月12日公開)ほか、「葬式の名人」「アンダー・ユア・ベッド」「カツベン!」が公開予定。

【番組情報】


開局55周年特別企画ドドラマスペシャル 山崎豊子原作「二つの祖国」
テレビ東京系
3月23・24日 午後9:00~11:24

【プレゼント】


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https://twitter.com/internettvg/status/1109258459197919232?s=21
さらに、ツイート内のリンクをクリックし、必要事項を入力してください。

●締め切り:2019年4月8日(月)正午

●発表方法:当選者の発表は、賞品の発送をもって代えさせていただきます。あらかじめご了承ください。

取材・文/遠山雅廣(テレビ東京担当) 撮影/蓮尾美智子

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