連載特集 山とともに

北海道当麻町 広報とうま 我が郷土2019年3月号

©株式会社パブリカ

特別企画「千年を生きる超人に出会う」

東地区からぺーパンへ抜ける道道を自動車で走る。旭川との境界近くにある林道でエンジンを止め、スノーシューを履き、未踏の雪原へ向かう。

氷点下17度
青空を背景に咲く樹氷が美しい
「ギュッギュッ」
静寂の中、雪を踏む音だけが耳に響く。
道中、森の住人の息吹を感じる。鳥の鳴き声、ウサギの足跡、クマゲラの食痕、ヒグマの爪痕…。彼らを驚かせないようそっと歩を進める。

林を抜け、少し開けた場所に彼は佇んでいた。
樹齢千年を超えるイチイの木「黎明の松」。
その体は半分朽ちながらも、しっかりと根を張り立ち続ける。
大人3人が手を伸ばしてようやく届くその幹の太さが、千年という歳月の長さを伝える。青々とした葉を纏うその姿は今を生きる証。ひび割れ瘦けた肌に触れると命の温もりが伝わる。
この土地が〝トウマ〟と呼ばれるようになって127年。それよりもずっとずっと昔。
千年生き続けたその目は何を見てきたのだろう?
そして今を生きる我々を見て何を思うのだろう?
それを知ることは不可能。しかし彼は静かに何かを伝えている。

ピンと張り詰めた空気の中
ゆっくりと時が流れる

■黎明の松
2004年台風18号による被害調査でその大きさが確認された。以前から現場作業員にはその存在が知られていたという。ちなみに当麻町の町木はイチイの木。幹回り370センチ、樹高17.4メートルで北海道内で屈指の大きさを誇る。北海道有林内に生息しているため、入山には上川総合振興局南部森林室の許可が必要。