ノーベル賞・田中氏の技術で認知症の原因物質分析 米国でも展開

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質量分析技術と医用機器の融合によって疾病予測の可能性が大きく広がると強調する田中シニアフェロー(右)と柳沢所長=京都市中京区・島津製作所

 島津製作所シニアフェローで、2002年にノーベル化学賞を受賞した田中耕一氏は22日、アルツハイマー型認知症を引き起こすとされるタンパク質の蓄積量を微量の血液から調べる受託分析を、19年度から米国でも展開する見通しを明らかにした。日米で分析体制を整え、治療薬や予防法の開発に向けた研究を支援する。

 京都市中京区の島津製本社で開かれた国際学会後に田中氏が記者の質問に答えた。田中氏は昨年発表した脳内のアミロイドベータ蓄積量を1滴の血液から推定する新たな検査法について、「各国から引き合いがあるが、米国は製薬企業も多く、(分析対象の)検体数も多い。19年度前半の受託分析開始がほぼ確実視できている」と説明した。

 共同研究に当たった国立長寿医療研究センターの柳澤勝彦所長は「脳は情報が非常に得にくい器官。そこから特異的に流れ出る物質をつかみ、アルツハイマー病との関係を定量的に示せるようになったことは素晴らしい」と述べ、田中氏と島津製の質量分析研究チームの成果をたたえた。

 田中氏は同社が得意とする質量分析技術と医用機器の融合によって疾病予測の可能性が広がると展望し「アルツハイマー病をなくすというよりも、食べ物や運動などと組み合わせることで発症しないような生活方法を編み出したい」と意欲を語った。