18歳の投票率低下に懸念 年度またぎ 進学や就職

 統一地方選では初めてとなる「18歳選挙権」。高校での主権者教育などの成果もあり、国政選挙などで18歳の投票率は一定の水準を保ってきた。こうした中、統一地方選の第1ラウンドとなる今回の県議選は告示(3月29日)と投票(4月7日)が年度をまたぐ日程となるため、進学・就職による転居や投票呼び掛けの機会の減少に伴い、18歳の投票率低下が懸念されている。
 選挙権年齢を引き下げる改正公選法は2016年6月に施行。県内での18歳投票率を見ると、▽16年7月の参院選選挙区44.16%(19歳34.02%)▽17年10月の衆院選小選挙区52.46%(同29.12%)▽18年2月の知事選35.79%(同15.73%)-で推移。いずれも18歳が19歳を上回る。
 これらの選挙は、18歳の多くが在学中だったため、学校で主権者教育や啓発を受ける機会も多かったが、今回の県議選は18歳の大半が高校を卒業したタイミングで投票日を迎えることになる。県選管によると、18歳へのアプローチが難しくなる上に、住民票を移さないまま進学・就職で県外に転居するケースが多いという。
 年度またぎの選挙をにらみ、主権者教育に力を入れる県教委は生徒の卒業前に手を打った。卒業生に選挙の意義や、転居の際に住民票を移すことなどを指導するよう、2月に県内の全公立高校に通知。県教委は「投票率は主権者教育の成果の一つとして気にしている」と注視するが、どこまで奏功するかは未知数だ。
 当の18歳有権者からは冷めた声も聞こえる。長崎市内の高校を卒業し、新生活を迎える男子生徒(18)は「正直、選挙に関心はない。(新生活で)それどころじゃない」。進学で県外に転居する男子生徒(18)も「引っ越した先で選挙があっても、何も分からないからたぶん投票にはいかない」と淡々とした口調。同じく県外に出る別の男子生徒(18)は「初めての選挙で実感がわかない。市長選はともかく、県議選は自分たちに直接関わりがないように感じる」と戸惑いの表情を浮かべる。
 “政治離れ”が指摘される中、若者の政治への関心を高めようとする動きもある。県内の大学生で構成するNPO法人ドットジェイピー長崎支部は、地方議員の活動を体験する「議員インターンシップ」を展開。学生が地域の課題をフェイスブックで発信するプロジェクトなどに取り組んでいる。支部代表で長崎大経済学部2年の田中和人さん(20)は「政治で生活が変わると感じにくいかもしれないが、選挙は自分の町の暮らしを左右する人を決める。投票は誰のためでもなく自分のためだ」と力を込めた。

県内の主な選挙の年齢別投票率

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