熊本県内公立学校の教職員 今後10年で4割が定年退職 「教育の質」低下懸念も

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 熊本県内の公立学校に勤める教職員の約4割が、今後10年間で定年退職する。若手の指導役でもあるベテランがごっそり抜ければ、教育の質の低下にもつながりかねない。熊本市教委は再任用したベテランが、現役教師の授業力を向上させる取り組みを続けている。

 両教委によると、臨時採用教員を除く校長や教頭、教諭などの全教職員は2018年度が1万3357人。このうち18~27年度に定年を迎える教職員は5033人で、全体の37・7%に上る。ピークは21年度で、582人が一斉に定年となる。

 一方、教職員の志願者は減っている。県教委によると、小学校教諭の場合、13年度採用試験では採用数127人に対し、志願者は645人だった。19年度は採用数161人に対し志願者は366人で、倍率が5・1倍から2・3倍に落ち込んだ。市教委も志願倍率は13年度の13・7倍から、19年度は3・2倍に低下している。

 「教職員は授業や部活動で多忙」などのイメージに加え、景気が上向く中で人材が民間企業に流れているのが現状という。志願者を増やすため、県教委は20年度採用試験から、小学校教諭の志願者に課していた実技試験を全廃。市教委も実技の一部を廃止するなど、受験要件を緩和した。

 ただ、採用試験に合格しやすくなった半面、若手教員が増えて産休や育休の取得が増加。急な欠員をカバーしてきた臨時任用の教員も不足気味になっているという。

 教員養成に詳しい熊本大教職大学院の前田康裕准教授(57)は「教職員の大量退職は全国的な傾向だが、経験豊富なベテランがいなくなる影響は大きい。採用の仕方を工夫するだけでなく、教師の指導力向上も必要」と話している。(臼杵大介、木村恭士)

(2019年3月24日付 熊本日日新聞朝刊掲載)