希少な国内産アボカド 西海で苗木約700本育成中 「西海をアボカドの里に」西海市内の研究グループ 耕作放棄地解消へ 来春苗木販売

 「森のバター」と呼ばれるアボカドの栽培を長崎県西海市で広めようと「長崎アボカド普及協議会西海市グループ」は、アボカドの苗木約700本を育てている。来春にも栽培意欲のある市民に苗木を販売する。同グループ会長の原口誠司さん(70)は「耕作放棄地の解消につなげ、西海市をアボカドの里にしたい」と話している。

 アボカドはクスノキ科の亜熱帯果樹。独特の食感で人気が高まっている。農林水産省の統計によると、2017年の輸入量は約6万トン。国内では和歌山、愛媛県が栽培先進地で2015年度の出荷量は4.6トン。国内産の希少性は高い。

 西海市西海町で果樹園を営む原口さんは10年ほど前、捨てられた種から自然に発芽したとみられるアボカドの木を西海市内で発見。樹木としては市内でも育つことに着目し、栽培法の研究に着手した。昨年、果樹園内で露地栽培した木に実がなった。昨秋からは、グループの会員4人で苗木の生産に取り組む。

 長崎県の事業を活用し、米国から種子を輸入。発芽させ台木とした。台木に先進地の和歌山から譲り受けた耐寒性に優れた品種「ベーコン」の枝を接ぎ木。会員の温室で約700本を栽培している。来春、栽培希望者にグループの準会員になってもらい、苗木を販売する予定だ。

 2017年の長崎県内の耕作放棄率は28%。西海市は51.4%とさらに上回る。原口さんは「アボカドの苗木は3年目を迎えれば、無肥料、無農薬で手間はかからない。露地なら5、6年ほどで実がつく」と話す。耕作放棄地の解消につなげようと、3月4日には、アボカド栽培の第一人者、日本熱帯果樹協会の米本仁巳氏を招いて西海市内で講演会を開き、約140人が理解を深めた。

 原口さんは「グループとして取り組み、データを集め、栽培法の研究、指導にもつなげる。孫の世代のためにも、アボカドの産地化に取り組みたい」と話した。

長崎アボカド普及協議会西海市グループのメンバーが育てているアボカドの苗木=同市内

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