世界遺産マチュピチュを拓いた男 日系移民野内与吉を紹介

野内与吉の生涯を語る孫の野内セサル良郎さん=JICA横浜

 年間100万人が訪れるペルーの世界遺産「マチュピチュ遺跡」の玄関口、マチュピチュ村の創設に貢献した日本人移民、野内与吉を紹介する講演会が23日、横浜市中区のJICA横浜で開かれた。ペルー日本人移民120周年を記念したJICA横浜海外資料館の展示「マチュピチュ村を拓(ひら)いた男 野内与吉とペルー日本人移民の歴史」の一環。

 野内与吉(1895~1969)は福島県に生まれ、22歳の時にペルーに渡った。マチュピチュまでの鉄道建設に携わったのを契機に、集落に定住。密林の開拓、道路や水力発電所を整備した。いち早く遺跡の価値にも着目し、村で初のホテルで役場機能も併設した「ホテル・ノウチ」を開業、村長も務めた。村は現在、観光地となっているが、その基盤をつくったのが与吉だった。

 講演会では、与吉の孫で日本マチュピチュ協会会長の野内セサル良郎(よしろう)さん(43)が、村の人々に尽くした生涯を紹介。資料や村人の証言ビデオも使って祖父の足跡をたどった。「祖父は村の発展に尽力したが、その歴史がペルーでも日本でも知られていない。後世に語り継いでいきたい」と話した。

 遺跡を訪れたことがある人も含め約100人が参加したが、「野内与吉のことは全く知らなかった」と驚き、同村に祖父の資料館を造りたいという良郎さんの夢に拍手を送っていた。

 同展は5月26日まで、入場無料。問い合わせは同館電話045(663)3257。

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