ソーシャルゲームに押され 対戦型カード衰退 兵庫・三田の専門店閉店へ

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懐かしい雰囲気が漂う外観=ゲームショップわんめいと

 家庭用ゲーム機を販売し、客同士で対戦型カードゲームをして遊べる兵庫県三田市内で唯一の専門店が今月30日に店じまいする。「ゲーム世代」と呼ばれた平成の子どもたちが大人になっても集まる憩いの場。進化を遂げたファミコンや多様性を見せたカードゲームと共に歩んできたが、近年のスマートフォン向けソーシャルゲームなどに押され、立ちゆかなくなった。悲しいなあ。今までありがとう。ファンに惜しまれながら、平成の終わりに合わせて幕を下ろす。(山脇未菜美)

 「俺も弱いでやんす」「うぉぉぉ、いけ!」。平日の昼下がり、15畳ほどの店内に独特な会話が飛び交う。陳列棚にはレアな中古ソフトに加え、「遊戯王」などのカードが並び、中央の机で大学生らがカード対戦に熱中している。

 1991年に開業した「ゲームショップわんめいと」(同市三田町)。店長の松林朱美さん(65)=同市=が「常連客に居場所を残してあげられないのが心残りやね」とこぼした。

 元はゲームソフト販売会社の加盟店で95年、離婚した夫から経営権を受け継いだ。ゲームは素人で、詳しい店員の村木崇嗣さん(36)=同市=らに助けてもらいながら「店内で客が楽しめる」というスタイルを確立。シングルマザーとして2人の子どもを育てた。

 90年~00年前半は家庭用ゲームの黄金期だった。スーパーファミコンやプレイステーションがヒットし、新ソフト発売のたびに完売。カードを出し合って対戦する「トレーディングカード」も流行した。98年、ゲーム画面に話し掛けて人気キャラクター「ピカチュウ」を育てるソフトが出ると、店の前に大行列ができた。「何が起きてるんやって警察が見回りに来たねえ」と懐かしそうに笑う。

 だが、元祖のファミコン誕生から昨年で35年がたち、取り巻く環境は変わった。ゲームはどこかで一緒に-という図式がスマートフォンなどで遊ぶソーシャルゲームに崩されたためだ。

 ソフトやカードは下火になり、親会社もゲーム業から撤退。それでも店はスタイルを変えず、販売を中古品に変えて、遊技用の机やいすを充実させた。

 だが、フリーマーケットアプリの台頭が追い打ちをかけた。インターネット上で個々人が自由に品物を売買できるようになり、店としての限界を感じた。中学から通う甲子園大学1年の男子学生(19)=同市=は「直接対戦してこそ、相手の目線や手の動きが見られて面白いのに…」と閉店を惜しむ。

 28年間、松林さんは「来た人ががっかりするやろ?」と年中無休を貫いた。年末年始はもちろん、台風でも、自身の体調が優れなくても店を開けた。

 そんな人柄にファンが付いた。常連だった小学生は大人になり、子連れで再び通うようになった。「ここが好きだから」と言って地元に就職した人もいる。店の会員数は2万人を超える。閉店翌日の31日、常連客がお別れ会を開いてくれる。

 「今思うと、ここが私の居場所にもなってたんよね。全てが宝物です」