「日本の原風景」英国人オーナーへ 「邦久庵」を宿泊施設に 一般公開など催しは継続

 日本を代表する建築家、池田武邦さん(95)が長崎県西海市西彼町風早郷に建てた旧宅「邦久庵(ほうきゅうあん)」を、英国のホテル経営者、ジョナサン・デンビーさん(71)が代表を務める会社が保存活用を前提に取得した。秋以降、ゲストハウスとしても活用する。

 邦久庵は、日本初の超高層ビル「霞が関ビル」やハウステンボスなどの設計を手掛けた池田さんが、2001年に建てた。かやぶき屋根など「自然との共生」の設計理念を体現。2年ほど前から、地元住民などでつくる一般社団法人「邦久庵倶楽部」(代表理事、永野真義東京大助教)が、催しを開き、建物の理念や価値を伝えてきた。

 ガーデンデザイナーとしても著名なデンビーさんは、英国で6軒のホテル、福岡で1軒のゲストハウスを展開。邦久庵は主に米国、欧州からの訪日客の宿泊を想定。一般公開などの催しは同倶楽部が続ける。

 24日、現地を訪れたデンビーさんは「邦久庵は芸術作品で日本の原風景。滞在者に日本の体験を提供したい」。池田さんの長男で大学講師の邦太郎さん(64)は「地元のためになるよう、活用してほしい」と話した。

池田武邦さんの長男、邦太郎さんと握手を交わす新オーナーのデンビーさん(左)=西海市、邦久庵

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